日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F04
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一般演題
当院の人間ドック受診の男性にみる肥満と関連した食習慣が始まる時期・要因について
アンケート調査による実態と肥満予防の援助の方向性
岡 未幸鈴木 千鶴佐々木 幸子新野 峰久
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キーワード: 肥満, 食習慣, 人間ドック
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抄録

〔序論〕現在、多くの生活習慣病に大きく関わる“肥満”の予防が重要視されている。当院の人間ドック受診者では平成14・15年度で、20代から30代男性の肥満(BMI25以上)の割合が増加していた。そこで肥満の割合が増加している20代頃の習慣の変化が、肥満の増加に関係しているのではないかと考え、食習慣の実態調査を行なったのでその結果を報告する。
〔対象と方法〕平成16年10月28日から11月22日に当院の人間ドックを受診した30歳から59歳の男性に、年齢、職業、家族、今と20歳頃の体格、今の体重になった年齢、肥満に関連した食習慣10項目をいつから、なぜしているかなどアンケート調査を行なった。
〔結果〕現在の体格は肥満40%、正常54%、やせ2%であった。20歳頃は、肥満8%、正常83%、やせ6%であった。BMIが20歳頃に正常であっても全体の34%が肥満になっていた。今の体重になった年齢の平均を肥満と肥満以外で比較すると、肥満の群が高かった。同様に20歳頃と比べて体重が20%以上増加した群とそれ以外で比較すると、体重増加した群が高かった。55歳から59歳では体重増加した群が低かった。食生活10項目の件数では「10分以内に食べ終わる」「毎日お酒を飲む」「満腹まで食べる」が多かった。これは、年代別、職業別、体格別でも同様であった。習慣を始める時期は、「早食い」「満腹まで食べる」は「学生の頃から」が多くそれ以外は「仕事を始めてから」が多かった。また、「早食い」の理由は「家族の影響」「通勤・通学時間」が多かった。年代別では、30歳から34歳がほかの年代と違い、「朝食をとらない」「食事時間がバラバラ」が多く「早食い」や、「飲み物をよく飲む」習慣の件数が少なかった。また、お酒や飲み物は、嗜好品が好きだという理由よりも、ストレス解消としての理由が多く、35歳以降で「飲酒」、40歳以降で「飲み物を飲む」習慣の件数が増えていた。
〔考察〕20歳頃はほとんどが正常な体型であるため、肥満になる人は徐々に体重が増えていると思われる。食習慣のほとんどの項目が「学生の頃から」「仕事を始めてから」の20代前半という早い時期に習慣化されてしまうことからも、若い頃の体重を維持できるよう、太らないように自己管理できるような関わりが、男性の肥満予防には重要であると考える。件数の多い習慣であった「早食い」「飲酒」「満腹まで食べる」「飲み物をよく飲む」は、周囲やストレスなど外的な影響により習慣化していることがわかった。今後、個人への動機付けのほかに、家族や職場単位での、個人を囲む環境への関わりが重要になると思われる。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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