日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F06
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一般演題
飲酒習慣を考える
秋田県南部での調査より
桐原 優子林 雅人荻原 忠佐々木 司郎石成 誠子照井 一幸
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抄録

[緒言]近年、わが国におけるアルコール消費量は微増ないし横ばい傾向を示しており、明らかに減少を示している欧米先進諸国に反していまだ減少がみられていない。アルコールは生活習慣病の重要な発生要因になることは多くの報告がある。そこで、今回アンケート調査およびエタノール体質判定テストを実施し飲酒習慣について検討したので報告する。
[対象および方法]対象は平成15・16年度平鹿総合病院で健康診断を受診した男性1,693名とし、飲酒習慣アンケート調査(酒の種類別飲酒量・飲酒の状況・二日酔いはあるか・自分はアルコールが強いと思うか)及びエタノール体質判定テストを実施し、健診データ(AST・GGT)との関連をみた。有意差検定にはカイ二乗検定を用いた。
[結果]1)飲酒状況をみると毎日飲む58.3%・時々飲む27.8%と86.1%の人が酒を飲むと答えていた。年代別にみると40代の90.3%が毎日飲む・時々飲むと答えており、40代をピークに年代が進むにつれて酒を飲む人は減っていた。2)1日あたりの飲酒量をみると毎日飲酒している人は各年代とも日本酒換算で2合未満が最も多かったが、30代から60代については2合以上飲酒している人が4割以上を占めた。時々飲酒は毎日飲酒に比べ、各年代とも飲む量が少なく、1合未満が8割前後を占めていた。3)飲酒状況別異常者頻度をみると、AST・GGTとも毎日飲酒者の異常者頻度が高いという結果であった。4)酒の種類をみると毎日飲酒者は年代とともに日本酒飲酒が多く、ビール飲酒が少なく、焼酎についてはどの年代においても2割くらい飲んでいた。時々飲酒者は20代から50代までの年代で約70%がビールと答えていた。5)飲酒の状況は毎日飲酒者では晩酌すると答えた人が各年代において8割以上で年代とともに増えていた。時々飲酒者では若い年代において晩酌するより友人や知人ともコミュニケーション・つきあいの割合が多く、年代が進むにつれて晩酌の割合が多くなっていた。6)二日酔いはあるかについては毎日飲酒・時々飲酒ともないの人が多く、年代とともにない人の割合が増えていた。7)酒が強いと思うかについては毎日飲酒・時々飲酒とも年代とともに強いと思う人が増えていて、毎日飲酒者の60代以上では半数が自分は酒が強いと思っていた。8)エタノール体質判定テストの結果ではアルコールに反応のでない、飲みすぎ注意の危ないタイプが48.8%、アルコールにすぐに反応するぜんぜん飲めないタイプが12.9%であった。飲酒状況別にパッチテストの結果をみると酒を飲まない人は、危ないタイプが19.4%でほんとは飲めない・ぜんぜん飲めないというアルコールに反応するタイプが80.6%を占めていた。2合以上飲酒者でもアルコールがぜんぜん飲めないタイプが5.4%いた。
[考察・まとめ]毎日飲酒者は半数以上を占めていた。毎日飲酒者の飲酒状況は晩酌が多く、飲酒量も多くなり、肝機能異常者も多いという結果であった。特に働き盛りの年代の多量飲酒が目立つことは問題となる。体質的にアルコールが合わないのに多量飲酒している危険な人もおり、今後は個々の飲酒状況に応じた適量飲酒の指導が必要であると思われる。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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