日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2G08
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一般演題
当科における治験の実施状況と問題点
熊木 昇二岡沢 香津子渡辺 英理子
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キーワード: 治験, 実施状況, 問題点
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抄録

【目的】当院では98年6月より新GCPに対応する治験受け入れを開始し、当科は99年11月より治験を受け入れてきた。今回これまで当科で受け入れた治験の実施状況を調べ、問題点を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】99年11月から2005年3月までに当科で受け入れ、エントリー期間が終了した治験は12治験であった。内訳は、第II相前期試験2治験、第II相後期試験1治験、第II/III相試験2治験、第III相試験5治験、長期投与試験2治験であった。このうち対象薬にプラセボが含まれていたものは7治験であった。対象疾患は、骨粗鬆症が4治験、関節リウマチが5治験、深部静脈血栓症が3治験であり、そのうち急性疾患の治験は骨粗鬆症の新鮮脊椎圧迫骨折を対象とした1治験だけであった。当院では医師による診察中に治験対象患者をスクリーニングすることを原則としている。すなわち、まず医師が診察中の患者に対し診療録より適格性を確認する。おおむね適格であると判断できた患者に対し、治験の概要を口頭で説明する。そこで治験に興味を示した患者に対し、同意説明文章を用いた治験説明日を予約する。あわせて当院のCRCに連絡し、選択基準の合致、除外基準への抵触の有無、併用薬剤などを確認する。問題のないことが確認できた患者に対し、治験説明日に同意を取得する。除外基準に抵触した患者には電話等で治験説明日の予約を解消する。
【結果】契約症例数は155名であり、同意取得数は132名であった。そのうちエントリーできた患者は119名であり、実施率は76.8%であった。実施率を各相別で比較すると、第II相前期試験は契約症例数16名に対し同意取得数7名、エントリー数4名であり実施率は25.0%であった。第II相後期試験はそれぞれ20名、19名、18名で実施率は90.0%、第II/III相試験はそれぞれ45名、42名、39名で実施率は86.7%、第III相試験はそれぞれ58名、51名、45名で実施率は77.8%、長期投与試験はそれぞれ16名、13名、13名で実施率は81.3%であった。対象薬のプラセボの有無で比較すると、プラセボが含まれていなかった5治験では契約症例数48名に対し同意取得数40名、エントリー数35名であり実施率は72.9%であった。一方プラセボを含んだ7治験ではそれぞれ107名、92名、84名で実施率は78.5%であった。急性疾患を対象とした1治験では、契約症例数8名に対し同意取得数4名、エントリー数はわずかに3名で実施率は37.5%にとどまった。同意取得後エントリーできなかった13名の内訳は、同意撤回が4名、同意取得後のスクリーニング検査で選択基準に合致しなかったものが4名、除外基準に抵触したものが5名であった。
【結論】当科における治験実施率は比較的高かったが、第II相前期試験と急性疾患を対象とした治験において実施率が極端に低かった。またプラセボの有無はその実施率に影響をしていなかった。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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