日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2I01
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鶏卵アレルギーなどアレルギー性疾患児に対するインフルエンザワクチン接種における皮内反応の有用性
矢野 一郎冨田 智子村川 和義
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抄録

背景;鶏卵アレルギーの児は気管支喘息などの合併も多く、そのためにもインフルエンザワクチンの接種が必要である。しかし、ワクチンに含有する鶏卵成分のため、一部にはアレルギーに対する保護者の過剰反応もあり、接種を敬遠している場合、できないと思い込んでいる場合がある。今回、私たちはインフルエンザワクチン接種の重要性を充分説明し、その上で鶏卵アレルギー児を中心に皮内反応を行い,ワクチン接種を行なった。皮内反応はインフォームドコンセントの上でも有用であったので報告する。皮内反応は小倉らの方法に従い、10倍希釈ワクチン液(0.02ml)による皮内注射を行ない、膨疹径、発赤径をもって、陰性、疑陽性、陽性、強陽性とするものである。皮内反応を行なった児は以下の16例である。
対象;1,鶏卵成分で即時型反応を呈した既往のある児は5例。2,卵白RAST2以上で完全除去をしている児は6例。3,卵白RAST2以上で、不完全除去をしている児は4例。4,その他(前回接種時に腋下リンパ節腫脹)1例。
結果;1の皮内反応は陰性2例、疑陽性2例、陽性1例であった。ワクチン接種を陰性および疑陽性の4例は全量接種、陽性の1例は分割接種を行った。接種後2日で、重大な副反応は認めなかった。2は陰性3例、疑陽性2例、陽性1例であった。陰性および疑陽性の5例は全量接種、陽性の1例は分割接種を行った。全例、重大な副反応は認めなかった。3は陰性1例、陽性2、強陽性1例であった。陰性の1例は全量接種、陽性の2例には分割接種した。全例、重大な副反応は認めなかった。強陽性の1例は中止とした。4の1例は陽性であったが、分割投与した。
まとめ;1.今回、私たちは鶏卵アレルギーのある児を中心に皮内反応を行ない、インフルエンザワクチンを接種した。2.即時型反応を起こした既往のある児は陰性あるいは疑陽性が4例、陽性が1例であった。3.RAST2+以上で完全除去中の児は陰性あるいは疑陽性が5例、陽性が1例であった。4.RAST2+以上で不完全除去中の児は陰性1例、陽性2例、強陽性1例であった。5.16例中、陰性あるいは疑陽性は10例で全量接種、陽性が5例で分割接種を行なったが、重大な副反応はなかった。強陽性は1例で接種中止した。6.皮内反応を行なうことにより、鶏卵アレルギーなどのため、予防接種ができないと思っている児に安全に接種を行うことができた。このことは、アレルギー児に予防接種行う場合、インフォームドコンセントを行なう上でも有用と思われた。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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