日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J05
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一般演題
住民健診における血液検査データの加齢変化について
-長野県検査データ標準化参加項目を中心に-
池田 せつ子川井 光高見澤 靖子倉沢 紀恵子
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抄録

〈緒言〉厚労省は平成16年老健法事業見直しの中間報告で、介護予防とともにライフステージに応じた生活習慣病予防対策の実施を提言している。当センターは県下住民約10万人の、地域に出向いた集団健康スクリーニング(以下健診)を実施している。今回、ライフステージを考慮した結果報告などの参考にすべく、血液検査標準化実施項目を中心に加齢変化について検討したので報告する。
〈対象と方法〉2004年4ー12月の20歳以上の健診受診者81,705人から、5種の除外条件で標準個体を抽出した。
除外:現在治療中、BMI<18.5または25以上、SBP≧160,DBP≧100、毎日飲酒または1合を越える、現在喫煙中。抽出数:男性4,894、女性22,894名血算は、Sysmex-XE2100L、生化学検査は日立7600にて測定。標準化項目を中心に、5歳間隔の集団として、中央値と90または95(下限は5)パーセンタイル値を算出し、加齢変化と性差を観察した。
〈血液検査の標準化〉AST・ALT・GGT・ALP・LDはJSCC標準化対応法で測定、標準物質は検量用ERM。総コレステロールはUV法、HDL-Cは直接法(第一化学)で、ともにCDC認証を受けている。HbA1cはDM-JACKII、日本糖尿病学会Lot2準拠のキャリブレータが基準。CaはOCPC法で測定、原子吸光法での値づけ標準血清を基準とし、上記項目は長野県検査技師会標準化サーベイでも許容されている。
◇基準範囲は±3SD棄却の後、パラメトリック(最小歪度)法で出した。
〈結果〉TC、ALB、A1cの加齢変化を図に示す。男性は上昇・高齢域低下・低下・横ばいの4群に大別された。AST・LD・ALP・UN・A1cは徐々に上昇、ALT・GGT・TCは上昇するものの高齢域で低下傾向にある。大幅に低下したのは、ALB(5パーセンタイル:4.4→3.6)とCa(同:9.4→8.7)、TP・Hgbであった。女性は45ー50歳付近で大きく上昇する項目が多い。なお、TP・ALB・Ca・Hgbの低下傾向は男性ほど大きくないのが特徴的であった。
標準化データによる基準範囲は測定方法が比較的混乱しがちなALP・LDのみ表に示した。
〈考察〉老健法で示すライフステーシ゛3群(20ー39、40ー64、65ー)は男性についての傾向であり、女性は45ー50歳で区切る2群での対応がより望まれる。ここでは加齢変化の提示にとどめたが、発表の中では検査標準化項目の上記群別の基準範囲も示す予定である。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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