抄録
【目的】 本院では、2008年3月17日より全機器がCR法となった。そして、2008年7月からは放射線情報システム(以下RIS)運用が始まる。撮影条件もマスタ化して機器と接続し、各被検者のひばく線量を管理する予定である。そのため、今回使用している放射線発生装置の入射表面線量を実測し、Non Dosimeter Dosimetry表面線量簡易換算式(以下NDD法)による計算値と比較してX線管球の固有係数を求めた。そして、計算値によるひばく管理が可能か検討した。
【方法】 (1)一般撮影部門で使用するX線発生装置の中で、一次側管電圧・管電流を一ヶ月以内に調整した3装置5管球について照射線量の計測をした。(2)照射条件は、60 ~ 120kV の10kV おき-小焦点100mA - 0.1sec とした.(3)腹部ファントム上に検出器を置き、X 線管焦点-検出器間距離は0.9m とし、照射野30cm×30cmとした。(4)実測した入射表面線量とNDD法を比較し、固有係数を求めた。
【使用機器】
A) X線発生装置島津UD150B-40,
a-1管球 島津P38DE 2.5mm Al (総ろ過)
B) X線発生装置島津UD150L-40F
b-1管球 島津P38DE 2.5mm Al (総ろ過)
b-2管球 島津P38DE 2.5mm Al (総ろ過)
C) 東芝KXO-50R
c-1管球 DR-2724H 2.3mm Al (総ろ過)
c-2管球 DR-2724H 2.3mm Al (総ろ過)
測定器)Mult-O-Meter 577 UNFORS
測定器)SDM104-101(McMahon)
ファントム)胸腹部用水ファントムWAC型
【結果】 (1)NDD法による計算値と実測値との相関は、最高が管球b-1のR2=0.9998、最低でもc-2のR2=0.9920であり、高い相関を示した。table 1 (2)NDD法とのX線出力比を示す固有係数は、b-2が最も高く1.35で、最低はc-2で1.25であった。バラツキを示す標準誤差は、c-2が最も悪く0.059であった。table 2
【考察】 NDD法の計算値と実測値との相関はよく、NDD法によるひばく管理は可能と思われた。今回の計測は表面線量計と腹部ファントムを使用し、一部の電流のみで固有係数を求めた簡易的な方法であった。そのため、今回の固有係数は、胸部や小児・四肢領域の固有係数値として用いることが可能なのかを、最適なファントム・照射条件・測定機器を用いて今後確認していく必要がある。また、実測した最小線量は約0.5mGyなので、標準誤差0.059の値を示したX線発生器は再調整の必要性を感じた。
NDD法の計算式に焦点―皮膚間距離を用いるので、撮影部位よる距離の変動をRIS・CRマスタで対応出来るのか検討しなければならない。
