日本農村医学会学術総会抄録集
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第57回日本農村医学会学術総会
セッションID: workshop1-3
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ワークショップ1
ISO9001マネジメントシステムと継続教育
山本 千賀子
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抄録

〈緒言>厚生連病院使命として、地域医療に貢献することがある。その中で地域に信頼される病院であることが重要である。当院は第3者評価としてISO9001の認証を受け職員一丸となって「地域から信頼されるチーム医療の提供」に努力している。今回、某雑誌に当院の看護部の活動が掲載されたことが縁でこのような発言の機会を得た。継続教育の充実、専門職としてのキャリア開発が看護の質向上への重要な要素となっている。また、その活動が患者満足、職務満足へと繋がっている。二交代勤務体制は平成13年度に全病棟に導入し、働く人たちから支持を得ている。5年間の取り組みの結果、予想以上の看護職の確保ができ、平成19年5月に7対1入院基本料が取得できた。新卒看護職の1年以内の退職が5年間なかったこと、新規採用者のアンケートの結果でも、上位3項目は、地域の評価・継続教育の充実・2交代制であるとの結果が明らかになった。この結果に繋がった活動を報告する。
<ISO9001認証にむけての活動>ISO9001の認証を平成16年3月にうけた。認証に至るまでの過程は、工業部門で主に使用されているシステムを、医療用に対応する作業や、チーム研修で日常業務を見直す作業に全職員が取り組んだ。その結果、職種間の相互理解ができ、産みの苦労の共有はその後の活動の糧となっている。看護部継続教育においてもデミングサイクルをまわすことで、実践的なプログラムの改善につなげている。
<継続教育7コースとクリニカルラダー>クリニカルラダーは、「臨床看護師としての自立と資質・能力の向上を支援する」ことを目的に掲げ、レベル_I_「基礎的段階」レベル_II_「一人前」レベル_III_「中堅ベテラン」レベル_IV_達人」とし目標の明確化を図った。看護基礎コース:3年間で1人前に育成し、技術指導は、リーダーシップ層、主任、師長が責任を持つ。プリセプターコース:(看護基礎コース修了者)プリセプターシップの理解を深め、新規採用者の精神的サポートを行なっている。リーダーシップコース:(看護基礎コース・プリセプターコース修了者)所属部署・病院の委員会・看護部の検討会の活動を通して、リーダーシップの役割、小集団活動、キャリアアップのための研修参加として、主に実践から学ぶことを中心としている。管理コース(主任・師長)管理に必要なマネジメント能力の習得を目標にしている。また、検討課題に取り組むコースとしても機能している。看護研究コース:(看護研究に取り組む人)事例研究から、各部署や検討会等で研究する場合も該当する。准看護師コース・看護補助コース以上の7コースを設けている。
<キャリア開発>継続教育プログラム、各種検討会の活動のなかから、キャリアアップへの動機付けができた。5年間で感染管理認定看護師、大学院修了者、糖尿病療養士、NST専門療法士、呼吸療法士認定者が誕生し、看護の質向上へ貢献している。
<結語>以上説明してきた日々の活動は、看護職の生き生きとした働きとなり、患者に選ばれる病院や人材確保に繋がっているように思う。看護部長としては、看護部の活動のあらゆる機会を利用し「実現したい看護」について発信することが必要である。「こんな看護を提供しています。」と各自が、自信を持って発言できることが必要である。新人を丁寧に育てることは、リアリテーショックの予防、離職防止に繋がる。看護基礎コース、プリセプターコースに丁寧に関わることで、リーダーシップコースは自立し成長できる。また、実践の中で学ぶことで、新たな時間を必要とせず、ワーク・ライフ・バランスの実現に繋がると考える。

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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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