〈目的〉看護師長が全病棟をラウンドし,在庫管理指導を
することで,看護職員一人一人にコスト意識を持たせ支出
減に繋げる。
〈方法〉
期間:平成20年8月1日~平成21年3月31日
対象:看護師長を除く病棟勤務者92名
方法:医療材料の担当者と看護師長が病棟ラウンドし,
課題を話し合い,目標を立案した。その後,複数の看護師
長が,不定期に病棟ラウンドし,具体的な在庫管理指導と
成果を承認した。また,保険請求できない医療材料で,使
用頻度の高い,注射針等,4種類の使用時のコスト意識と
請求数,在庫削減状況を問う半構成インタビューを施行。
医療材料の保管場所と収納面積,請求に関する時間,看護
部及び病棟の会議録から,コストに関する協議事項を抽出
し,看護師長の病棟ラウンド実施前後(以下前・後とい
う)で比較した。
〈結果〉コスト意識は,4種類すべてで向上し,請求数は
すべて減少,金額にして1ヶ月間で114,723円の減額で
あった。インタビューの内容は,前は「日々変化するので
請求困難である」等できない理由が多く,後は意欲的な言
葉に変化した。全病棟の材料の保管場所の面積は,32.8か
ら25.2m2に,距離は保管場所の移動により41m 短縮し
た。請求関連の時間は65分間が1週間で短縮された。会議
のコスト関連の協議件数は,4件から13件に増加した。
〈考察〉今回,担当者が,全部署を見学したことで,自分
の部署の課題に気づき,自ら目標を立案し,達成のため進
んで会議に提案するようになり,協議の機会が増え,ス
タッフ一人一人のコスト意識も高まったと考える。さら
に,師長がラウンドしながら具体的な指導と評価をし,
ミーティングで意思統一しながら,師長全員が関わって
いったことは,スタッフの励みになり継続の一因になった
と考える。これらは,計画・実行・評価・改善,再実行の
PDC サイクルに一致しコスト削減の効果に繋がったと考
える。以上のことから,実務者と病棟管理者が共通認識の
下,コスト削減に取り込んだことが,スタッフのコスト意
識を向上させ,在庫の削減になったと考える。
〈結論〉師長のラウンドによる指導は,コスト意識の向上
につながり,医療材料の在庫削減につながる。