〈目的〉医療現場は,非常にストレスの高い環境にあり,
新人は適応に苦労している。当院では,平成18年度・19年
度ともに1名の新規採用看護職員(以下,新人とする)が
離職している。これまで,基本的看護技術習得の為に,入
職前技術研修や毎月の集合研修を企画,実施してきた。平
成20年度は,更に職場適応を支援することを目的に,新人
の年間教育計画を見直した。その結果,新人をサポートす
るための研修のあり方の示唆を得たので報告する。
〈対象〉平成20年度新規採用看護職員22名。
〈方法〉2・4ヶ月目にグループワーク形式の振り返り研
修を導入。2・4・6ヶ月目にアンケート調査を行った。
振り返り研修やアンケートで得られた新人の情報を,プリ
セプターや所属部署,教育委員へ提供した。
〈結果・考察〉振り返り研修やアンケート調査により,新
人の悩みや不安,職場適応状況などを知ることができた。
入職後6ヶ月間の新人は,様々な不安や悩みを抱いてお
り,この時期の十分なサポートが必要であることが分かっ
た。振り返り研修の導入は,同期の仲間と気持ちを表出し
合い不安を軽減する場になった。研修やアンケート調査で
得られた情報を,プリセプターや所属部署,教育委員へ提
供することで,看護部全体で新人を把握することができ
た。新人の職場適応状況や望む支援を速やかに現場に
フィードバックすることで,各サポート体制は強化され,
新人の満足度は高まった。結果,入職後12ヶ月経過した時
点で離職者はなく,職場適応の支援に効果があった。
〈結論〉振り返り研修の導入と,職場適応状況や望む支援
を現場にフィードバックすることは,新人の職場適応の支
援に有効である。