〈はじめに〉睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は,昼間の眠
気・集中力の低下・抑うつ気分など生活の質の低下と,高
血圧・心筋梗塞・脳梗塞等の合併症を引き起こすことで注
目されている病気である。OSAS の一般的な治療法である
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は非常に有効ではある
が,その持続的治療を苦痛に思う方も少なくない。そこで
我々は,日本のOSAS 患者の6~7割が肥満であり,そ
の肥満を改善する事がOSAS の改善に繋がることに着目
し,服薬や入院治療に頼ることなく啓蒙活動や意識改革を
する事で減量を成功させ,CPAP を離脱することのでき
た3症例を経験した。以下,その内容について報告する。
〈症例〉(1)20代女性・153cm・96kg:他院よりOSAS 疑
いにて当院紹介となる。AHI(無呼吸低呼吸指数):100と
重症のOSAS でCPAP 導入。減量でCPAP 卒業が可能と
の説明で,卒業を志して食事を中心とした減量に励む。32
kg の減量でAHI:7となり,CPAP 離脱。(2)30代男性・
166cm・88kg:健診でOSAS が疑われ受診。AHI:80と
重症の為,CPAP 導入。マスク装着でのトラブルに悩む
中,情報紙CPAP レターにて卒業の記事を読み,卒業を
切望。食事制限と運動により30kg 減量し,AHI:3と正
常範囲内になりCPAP 離脱。(3)50代男性・164cm・82kg:
他院でCPAP を導入し,自宅に近い当院へと転院。治療
に前向きで運動習慣もあったが,CPAP 専門外来で87kg
と体重増加を認めた。技師による指導で食事制限と運動量
を見直し,20kg の減量に成功。AHI:9となりCPAP 離脱。
〈まとめ〉今回報告した3名は皆,私たちに満面の笑みで
感謝を述べて卒業していった。減量は,OSAS の改善だけ
でなくその他の疾病予防にもつながり,患者さまのQOL
向上に検査技師も貢献できたのではないかと考える。