抄録
〈はじめに〉当病棟は脳血管疾患の後遺症である嚥下障害
を持った患者が多く,平成20年4月から7月の間に16名中
8名が嚥下障害のため経管栄養で退院されている。これま
では,意識レベルや本人の意欲,うがいの状況などを医師
や言語療法士と相談した上で経口摂取を開始していた。し
かし,明確な判断基準がなかったために数回のムセや誤嚥
で経口摂取を中止し,経管栄養で固定することが多くあっ
た。
〈目的〉
(1)口腔マッサージを行い意識回復を促すとともに嚥下機
能を高める。
(2)伊勢崎市民病院が作成した嚥下アセスメントスコア
シートで嚥下機能を評価し,エビデンスに基づいた経口
摂取をすすめる。
〈対象と方法〉
脳血管障害で嚥下障害を伴うJCS1桁の
患者5名(14病日以上経過した慢性期の患者)
(1)モアブラシを使用し,1日3回口腔マッサージを実施
する。
(2)嚥下アセスメントスコアシートで,1週間毎と食事開
始時の嚥下機能を評価する。
8点以上より食事開始の目安とする。
〈結果と考察〉口腔マッサージにより4週目にはキザミ食
を自力摂取でき,不明瞭で少なかった発語も聞き取れるよ
うになった。
同様の方法により,全員のスコアの点数が上がり5名中
4名の経口摂取が可能となった。このことから,スコアで
嚥下機能を評価しながら経口摂取の見極めをし,嚥下機能
の程度に即した食事内容の選択が5名全員の誤嚥性肺炎な
どの合併症を起こさずに経過することができたと考えられ
る。
普段何気なく行っている口腔ケアの意識を少し変えるこ
とで,患者の意識の回復や嚥下機能の向上に繋がる。
〈結論〉
(1)口腔マッサージは嚥下機能を高める。
(2)口腔マッサージは意識回復の働きかけになった。
(3)嚥下アセスメントスコアシートの活用で,嚥下機能を
評価したことは経口摂取時期の見極めと食事形態の選択
に役立った。