日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 12-06
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がん化学療法を受ける患者への外来看護記録の導入
川村 京子屋宜 譜美子川畑 ゆり子
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抄録

〈はじめに〉現在,患者の社会的立場や家庭生活を重視し
ながら,外来でがん化学療法(以下化学療法)を受ける患
者が増加している。当院では「作業手順マニュアル」「化
学療法経過シート」などを活用している。今回これに加え
て,「患者の様子・思い」と「看護師の手技・思い」を記
録する看護記録を導入した。3事例の記録をもとに外来化
学療法を受ける患者に必要な外来看護について考察を行っ
たので報告する。
〈対象・方法〉平成20年7月の段階で外来化学療法を継続
している患者3名(表1)とこの3名に関わる外来看護師
8名に,研究目的・方法・結果の公表について説明し了承
を得た。同年9月末日までの期間に化学療法のための受診
毎に「患者の様子・思い」と「看護師の手技・思い」を記
録し,この記述内容を分析した。
〈結果および考察〉(表2)3事例の看護記録の内容を意
味単位に区切り,内容の類似性に着目して29カテゴリが形
成された。最も記述数が多かったのは【病気の受け止め】
など《患者の気持ち》(57)であり,次いで多かったのは
【患者の理解・関係構築】など《看護師の思い》(35)で
あった。当初,新たな看護業務である化学療法の手技につ
いて不安の記述が多いと予測していが,記述のべ数は28で
あり,【血管確保】や【新しい薬剤使用】,【ミキシング手
技の不安】についての記述合計は14であるが【規準化した
ことでの安心感】【主義への自信】の合計記述数14のほう
が上回った。
事例別では《患者の気持ち》(23)と《看護師の気持ち》
(26)と事例3が最も多かった。「外傷による病変」と説
明を受けている未告知の患者に対する看護の課題意識が示
されているもと考えられる。
〈まとめ〉外来化学療法を受ける患者の看護には,手
順を規準化するとともに継続した記録を元にした情報
共有をはかり,患者理解の上に立った関係を構築し,
患者のQOL を高める関わりをチームで行う必要性が
重要である。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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