日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 14-07
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疥癬患者に接触した看護スタッフへの予防的治療としてのイベルメクチンの有用性
雨宮 美和子安達 亙唐澤 忠宏柳澤 明美
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キーワード: 疥癬, イベルメクチン
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抄録

〈はじめに〉疥癬患者と接触した医療スタッフに対する予
防的治療の是非およびその方法はいまだ確立されていな
い。今回,角化型疥癬で入院中の患者に接触した看護ス
タッフに,予防的治療の目的でイベルメクチンを投与した
ためその結果を報告する。
〈疥癬症例〉87歳,男性。心不全の診断で老人保健施設よ
り当院に緊急入院。入院1ヶ月前より上半身に皮疹があ
り,皮脂欠乏性皮膚炎と診断され,軟膏を塗布されてい
た。入院8日目に当院皮膚科で角化型疥癬と診断された。
体幹に浸出液を伴う痂皮化した発疹を多数認め,イベルメ
クチンの投与と安息香酸ベンジルローションの塗布がなさ
れ,7週間後に治癒した。
〈看護スタッフへの予防的治療〉角化型疥癬と診断された
直後より,疥癬患者に対する感染予防策を行うとともに,
本例の看護に携わった看護師9名中8名にクロタミトンの
全身塗布を,皮膚炎を有する2名の希望者にイベルメクチ
ンの内服を行った。クロタミトン全身塗布の煩雑性とその
効果の不確実性,イベルメクチンの効果の確実性とその安
全性より,最終的に看護師9名全員にイベルメクチンの予
防的内服を行った。イベルメクチン内服の4か月後までに
疥癬の感染は確認されなかった。また,本治療に関連する
副作用は見られなかった。
〈結論〉入院8日目に角化型疥癬と診断された患者を看護
したスタッフ全員に,疥癬感染の予防的治療としてイベル
メクチンを投与した。本治療後,看護スタッフへの感染は
確認されず,特別な副作用も認められなかった。以上よ
り,イベルメクチン投与は疥癬患者接触者への予防的治療
として有用である可能性が高い。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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