日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: W1-1
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肝臓専門医と非専門医の病診連携によるC型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
田沢 潤一草野 史彦酒井 義法藤原 秀臣
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抄録

目的) わが国ではC型肝炎ウイルス(HCV)感染が原因の肝がん死亡が増えている。国は、HCVキャリア発見と抗ウイルス療法の推進に取り組んでいるが、肝臓専門医(専門医)が少ないことが問題となっている。われわれは、C型慢性肝炎(CHC)に対するインターフェロン治療を病診連携で行ってきたので結果を報告する。 対象と方法) 1)2005年5月より2009年11月まで専門医と非専門医(診療所医師19名)の連携でCHC 52例にインターフェロン治療を行った。病型は難治例(HCV1型かつ高ウイルス量)が28例、それ以外(易治例)が24例であった。2)これらの中で、現在の標準的治療であるペグインターフェロンα2b(PEG)・リバビリン併用療法を行い、治療効果を判定できた19例について検討した。難治例には48週、易治例には24週の治療を行った。専門医は治療の導入を行った後、4週に1回の診察と血算に基づいた薬剤投与量の調節(添付文書に従う)や中止の判断等を行った。非専門医は原則として採血することなく、週1回のPEGの注射を行った。 結果) 1)治療効果が明らかになった40例のSVR(治療終了後6ヶ月以内に血中HCV-RNAが検出されない)率(ITT)は難治例で26%(5/19)、易治例で67%(14/21)であった。 2)難治例は12例で、倦怠感による中止1例、SVR5例、再燃4例、無効2例でありSVR率はITT 42%、PP 46%であった。易治例は7例で、脱落1例、SVR5例、再燃1例でありSVR率はITT 71%、PP 83%であった。これらのSVR率は、専門医により行われた国内治験の成績と同等であった。 結論) CHCに対する抗ウイルス療法を専門医と非専門医の病診連携で行うことが可能で、専門医により行われた国内治験の成績と同等の効果が得られることが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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