日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-A3-1
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Q3MG(ケルセチン-3-マロニルグルコシド)の肝臓におけるインスリン抵抗性改善と中性脂肪蓄積抑制効果
山崎 雅之王 莉岩本 麻美子米山 敏美塩飽 邦憲
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抄録

【緒言】  ポリフェノールを含有する茶葉などには、抗肥満、抗動脈硬化効果、糖代謝に対する機能性が認められている。我々は、動脈硬化モデルマウスであるLDLr欠損マウスを使い、桑葉由来ケルセチン-3-マロニルグルコシド(Q3MG)が、LDLの酸化を抑制し、動脈硬化巣形成抑制、血中コレステロール低下作用をもつことを明らかにした。(J Nutr 135: 729- 734, 2005, Food Chem 97: 25-31, 2006)。今回、モロヘイヤ由来Q3MGに血糖上昇抑制効果が認められたので報告する。 【方法】 8週齢の雄LDLr欠損マウスに、高脂肪食(対照食)、モロヘイヤ葉粉末(1200mg/100g Q3MG)を加えた高脂肪食(1% MLP、3% MLP)を自由摂取させた。8週後、麻酔下で解剖し、臓器重量測定、血液生化学検査を行った。肝臓の中性脂肪量測定、組織観察、遺伝子発現解析を行った。 【結果】  8週投与後、体重変化量では、対照群に比べ、1%と3% MLP投与群が有意に低値であった。血液生化学検査では、3%MLP投与群で血糖、中性脂肪、遊離脂肪酸が有意に低値であった。1% MLPと3% MLP投与群の肝臓重量が有意に低値で、肝臓中の中性脂肪量も1% MLPと3% MLP投与群で有意に低値であった。肝臓での遺伝子発現解析から、gp91phox(酸化ストレスROS産生)の発現量が有意に抑制され、PPARαとCPT1A(β-酸化)の発現量が有意に増加していることが明らかとなった。 【考察】  ポリフェノール摂取は酸化ストレス、β-酸化関連遺伝子発現に影響し、体重の減少に有効であることが知られている。Q3MGも肝臓での抗酸化とβ-酸化の活性化により中性脂肪の蓄積抑制、インスリン抵抗性改善していると考えられる。インスリン抵抗性改善作用により、食餌由来の糖が効率良く消費され、に繋がっていると考えられた。 【謝辞】本研究は、島根県産業技術センターとの共同研究として行った。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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