日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: R-17
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MTX、あるいは、5-FU投与で発症した重症薬剤性間質性肺炎の2症例の検討
加地 謙太大河内 昌弘山本 陽一郷治 滋希田村 泰弘浅田 馨服部 孝平後藤 章友神谷 泰隆大野 恒夫
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抄録

症例1は、69歳男性。数年前より、慢性関節リウマチのため、近医に通院していたが、関節痛の増悪が続くため、H21年7月より、MTX(リウマトレックス)の内服治療が開始となった。その後、徐々に、息切れ、呼吸困難が出現するようになり、当院に8/10に紹介された。紹介時に、SpO2 76%(room air)、聴診上、fine crackleを認め、胸部X線&CT上、両肺野全体のスリガラス状陰影、CRP19.4と異常を認め、重症間質性肺炎が疑われた。人工呼吸器による呼吸器管理の下、ステロイドパルス+漸減維持療法、抗生剤を含めた点滴治療を施した処、順調に呼吸状態の改善、両肺野の陰影も消失した。急性期には、KL6 1800U/ml, SP-D 1340 ng/mlは、異常高値を示していたが、回復期には、KL6 999U/ml, SP-D 184 ng/mlと改善したため、臨床経過、画像所見とあわせ、MTXによる重症薬剤性間質性肺炎と診断した。症例2は、69歳男性。H14年に、直腸癌(Ra, stage IIIa)で低位前方切除術を施行。H19年1月に、右肺に転移再発を認め、肺部分切除術を施行。4月に脳転移再発を認め、手術、サイバーナイフ治療を受けた。12月に多発性肺転移再発を認めたため、抗癌剤治療(FOLFOLI 13クール、mFOLFOX6 15クール、FOLFOLI 6クール)を施行したところ、乾性咳嗽に加え、胸部X線&CT上、両下肺野の間質性陰影を認め、KL6 1590U/ml, SP-A 180 ng/ml SP-D 844 ng/mlと異常高値を示したため、抗癌剤による薬剤性間質性肺炎が疑われた。ステロイドパルス+漸減維持療法を施したところ、自覚症状、および、間質性陰影の改善が得られた。DLSTでは、5-FU陽性、レボホリナート陰性、イリノテカン陰性であり、5-FUによる薬剤性間質性肺炎と診断した。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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