日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1E-18
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抗甲状腺抗体(抗サイログロブリン抗体)と甲状腺機能
ドック検診での検討
佐藤 繁樹木田 秀幸小山内 茂晴佐々木 沙耶紅粉 睦男井川 裕之真尾 泰生
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抄録

【はじめに】当院人間ドック検診での抗甲状腺抗体(抗サイログロブリン抗体:TgAb)を検討し,自己免疫性甲状腺疾患の頻度などを昨年の本学会で報告した。今回は,TgAbと甲状腺機能との関係について検討したので報告する。 【対象・方法】2007年度に当院ドック健診受診例中の4,277例でTgAbを測定。男性2,648,女性1,629例,平均年齢は男性53.0,女性52.0歳。TgAbの測定はCosmic社RIA法(陽性:0.3U/ml以上),血清TSHはCLIA法(基準値:0.36~3.67μU/ml)にて測定した。 【結果】1) TgAb 陽性率:男性12.2,女性24.6%。女性,高齢者ほど陽性率は高かった。2)血清TSH 値は,男性TgAb陰性例1.38±1.25,陽性例1.86±1.95μU/ml,女性は各々1.61±1.16,1.98±1.65μU/mlと陽性例が高値。男女とも加齢に従ってTSH値は上昇し,陽性例でより高値であった。しかし男性71歳以上,女性61歳以上では,TgAb陽性・陰性間でのTSH値の差異は消失した。 3)血清TSH値別のTgAb陽性率は,TSH正常:男性11.3,女性23.3%,0.1未満:各々62.5,55.6%,3.67~5.0:各々22.4,37.3%,5以上:各々42.5,48.4%であった。 4)TgAb陽性例の抗体価は,0.3~0.9:男性42.3,女性22.9%,1.0~9.9:各々42.9,54.9%,10.0~99.9:各々12.7,20.0%,100U/ml以上:2.2,3.2%であった。抗体価の増加に従ってTSH値は上昇傾向を示した。 【結語】自己免疫性甲状腺疾患(大多数は橋本病)の頻度は高率であった。血清TSH値も抗体陰性例に比べて高値で,TSH異常例での陽性率も高く,甲状腺機能異常(低下)に移行し易いと思われた。高齢者では,抗体以外の原因でTSH値が上昇する可能性が示唆された。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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