日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: S2-3
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在宅の高齢者の栄養問題,特にPEMについて
*有澤 正子
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キーワード: シンポジウムII
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抄録

 日本は世界でも最も高齢化が進んだ国であり,その長寿の秘訣として,米,野菜,魚が多く,低脂肪の日本食の効果と考えられている。しかし平均寿命が長い半面,日本の平均要介護状態期間は6年以上と長く,平均寿命から介護を必要とする期間を差し引いた「健康寿命」の延長は高齢者ならびに家族のQOL,介護・医療リソース,医療費の観点から重要な社会問題として認識されている。健康寿命を延ばす対策として,生活習慣病やメタボリック・シンドロームの抑制を目的に40歳以上(前期高齢者まで)を対象に特定健診・特定保健指導を実施している。しかし,その栄養指導内容は肥満や糖尿病等のリスクを鑑みた減量,減塩,低脂肪食が一般的である。
 後期高齢者においては,BMI が高値であっても死亡率の増加は見られず,健常時の体重が適正体重と考えられることから,自立できる身体機能の維持を目標とした栄養指導が望ましいと考えられる。高齢者の栄養問題としては,生活習慣病のコントロールに加え,主にたんぱく質が不足する,たんぱく質・エネルギー低栄養(Protein Energy Malnutrition : PEM)が重要である。
 PEM は摂取たんぱく質量が不足した結果,骨格筋のたんぱく質減少による除脂肪体重の減少や免疫能が低下し,身体機能の低下に至ると考えられており,介護の観点からも予防したい栄養障害である。そのためには,まずスクリーニングツール等を用いてPEM に関連した食生活の問題を抽出し,実施可能な問題解決策を提案する必要がある。
 高齢者の栄養を考える上での特徴としては,加齢に伴い身体機能が低下すること,合併する慢性疾患や障害が様々であるため個人差が大きいこと,長年の食習慣が様々であることがあげられる。また加齢に伴い,摂取総量が減少するとバランスのよい摂取が困難になり,特に口腔や嚥下の問題がある場合はたんぱく質の摂取不足が起こりやすくなる。高齢者においては食習慣を変更しにくい傾向があるので,このような口腔の問題が生じた場合,バランスのよい栄養摂取を維持するため適切な指導を施す必要がある。今回,PEM 予防の観点から適切な高齢者の栄養について考察する。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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