日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1G-3
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感染リンク事務スタッフが実施した感染対策活動の現状評価
矢崎 一典皆藤 浩樹飯泉 敦司園部 裕司浅野 貢鹿島 信一大畠 民部湯原 里美近藤 司荒川 克己
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抄録

はじめに
病院事務は、外来受付と救急トリアージの業務を担うため、平素から感染対策に目を向ける必要がある。今回、事務部門の感染リンクスタッフが、事務における感染症トリアージと標準予防策の現状を評価し、感染対策に取り組んだので報告する。
期間と方法
期間:平成22年6月~平成23年3月
対象:医事課67名と庶務課・施設課39名の計106名
方法: 1)受付時トリアージの現状を聞き取り調査
     2)標準予防策の現状確認を実施。手指衛生(手洗いの仕方に関しての7項目)・防護用具(マスクの装着脱方法と交換についての11項目)のチェック表を使用して3段階の自己評価
1)と2)現状確認後、評価分析し、問題点を抽出し改善案と課題の明確化を図る。
 倫理的配慮:個人特定ができないよう口頭で同意を得た
結果
トリアージの知識に個人差があり対応が曖昧になった。防護用具使用に関して、知識不足から装着が不十分な状態がみられた。
手指衛生7項目全てにおいては、部門間の有意差はなかった。半数が作業に移る前や15秒以上の手洗いと親指と手首の回し洗いが不十分だった。
マスクでは、N95マスクに関して、約3割が装着できなかった。11項目の内「マスクが湿ってきたら交換している」は、窓口に出ている医事課で有意に低かった。
考察
事務職員は、救急トリアージの業務を担うため、トリアージの重要性を再教育していく必要がある。また、直接患者や器具に触れることが少ないため、手指衛生と防護用具の重要性の理解が不足していたと考えられるため、これに対しても、再教育していくことが重要視される。
外来受付は、患者の対応に追われ、マスクが湿っても交換する時間がない可能性がある。しかし、手指衛生や防護用具の取り扱いは、感染防止において最も基本的な行為であるため、再教育による実施改善が重要である。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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