はじめに
当放射線部門では、感染症患者(疑い含む)との接触の際に接触者リスト(以下リスト)作成において、スムーズな対応が図れていない。そのため、リスト提出の遅れや、接触者の健康状況把握がしにくいという問題点が指摘された。今回、対応を改善することおよび感染管理室との連携を強化することを目的にリスト作成と健康状態記録表の作成に取り組んだので経過を報告する。
期間と方法
期間:平成21年6月~平成23年3月(21ヶ月間)
対象:放射線技師 39名
方法:リスト作成手順と報告手順・必要書類について見直しを行った。
感染症委員会作成の健康状態経過観察シートを基本とし、観察管理下となる本人が症状の見逃しがないよう観察すべき項目について洗い出しを行い、簡便にチェックできる方法・書式について検討し実症例での運用を試みた。
流行性疾患への抗体の有無(罹患癧・ワクチン歴等)情報は、管理上不可欠であることから事前に本人の同意を得て収集を行い、接触者リストデータベースに附帯した。
結果
接触者リストの作成:罹患歴の調査を予め行いデータベースに入力することにより追加調査を最小限にすることができた。
健康状態記録表の作成:経過観察時の観察項目をチェックボックスでチェックする形式に変更することにより、記入方法、症状記載が標準化された。また、スタッフより、記載が簡単で記入しやすいとの意見となった。
考察
把握されている抗体価がデータベースに記載されていることおよび観察項目をチェックボックスでチェックする形式に変更したことは、機敏に対応できてよい反面、個人情報管理も重要となるため、取り扱い基準等の作成にも目を向ける必要があると考える。健康状態記録表は、今回は、インフルエンザと胃腸炎で実施したが、当院で接触者リストが多く出る疾患については、いくつかの表を作成し実施評価した上で、感染管理室へフィードバックし、病院全体で実施出来るよう、用紙の統一化ができればと考える。