日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2B-14
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エプロンの改善を試みて
食べこぼしのある利用者を救え!!
福田 香織
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キーワード: 食べこぼし, エプロン
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抄録

はじめに 私達は、50代で脳梗塞を発症し片麻痺がある事例の食事介助について検討する機会を得た。本事例は、退所する時期になっても食べこぼしによる衣服の汚染があり、介護者である妻から在宅での介護が大変だということが聞かれた。そこでエプロン改善大作戦を試みた。 事例紹介 A氏 61歳 男性 脳梗塞の既往があり左片麻痺。知的には保たれているが、意思疎通はイエス・ノーのジェスチャーのみ。 入所時、自己摂取していたが食べこぼしが少量みられ、エプロンを使用。食事時間は1時間程度だが全量摂取していた。徐々に食べこぼしが多くみられ毎食後更衣が必要となった。食事時間も1時間以上かかり、一部介助となる。家族からは「家では毎回着替えるのは大変」等の意見が聞かれた。 ケアの実際 当施設のエプロンは食べこぼしをキャッチしきれず、横から流出し水分が染み込み、服が濡れていた。 まず衣服まで染みこませないため家庭にあり、エプロンの下に縫い付けることができる吸水性のあるタオルを使用。汚染時そのまま洗濯できる。次に清浄に食べこぼしをキャッチできる1.5ℓのペットボトルを工夫した。服に直接クリップで挟むことで、好きな位置に付けられ、体の傾きと共に動くので食べこぼしの流出を最小限におさえることができた。また、ペットボトルの上からエプロンをかぶせて使用するため、見栄えもよくなった。 結果・考察 食べこぼしのキャッチがうまくできるようになり、衣服の汚染がなくなったことで更衣回数が減少した。使用したペットボトルの大きさや取り付ける場所を変えられることが利点としてあり、またタオルの吸水性により、衣服までしみこむ事がなかったためと思われる。 食べこぼしを気にすることがなくなったことで食事への意欲も出てきたのではないだろうか。改善したエプロンは本人・家族ともに気に入ってくれた。食べこぼしによる汚染のたびの更衣が減る事が嬉しかったのかもれしない。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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