日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS1-1
会議情報

東日本大震災前後での当院災害支援活動とその問題点
太田原 康成
著者情報
キーワード: 災害, DMAT, 情報共有
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【背景】当院では平成22年11月にDMATを結成した。厚労省訓練後にDMATとして正式に認定された後、災害医療対策委員会を設立した。DMAT訓練で学んだ災害対策をもとにして院内マニュアルを改訂した。その後東日本大震災が起こったが、当院からは岩手県に対する被災地支援を急性期・亜急性期・慢性期に行い、実際の活動の中からその問題点が明らかとなった。また当病院が地震に伴い停電となった2回の経験の中で、DMATの訓練のみでは知り得なかった問題点が明らかとなった。我々の取り組みの現状と課題を紹介する。 【方法】DMAT訓練終了時点での問題点・災害発生直後の活動内容と問題点・岩手県診療支援時の活動内容と問題点・当院の被災の問題点に分けて検討した。 【結果】DMAT訓練終了時には院内の災害対策マニュアルの不備を問題点として挙げて、改訂を行った。大震災直後には岩手県釜石市でDMAT支援活動を行ったが、電話などの情報伝達手段がなかったため、情報収集が不十分で満足な支援活動を行えなかった一方、情報のない状況下ではあったが救急患者対応などの活動は行った。衛星携帯電話などによる情報収集の重要性が明らかとなった。岩手県診療支援活動では医師・看護師・薬剤師・事務職員が延べ18名参加し、情報の混乱する中で活動を行った。また当院の被害としては、停電により自家発電装置が稼働したものの、ネットワークサーバがダウンして、オーダリングを手作業で行うこととなった。院外の各機関(消防・市役所・電力会社など)との連携で反省点があった。 【結語】訓練で行った被災地支援活動はあくまでも訓練であり、実際の活動で新たな問題点が明らかとなった。今後の災害や当地域の災害を想定した日頃の活動の重要性が示唆された。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top