日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: SP-1
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病院統合のモデルケースを目指して
-兵庫県立尼崎病院と県立塚口病院の統合-
*藤原 久義
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キーワード: 特別講演
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抄録

 国民の健康と命を守るライフラインとしての医療において,我が国の公的病院は歴史的にきわめて重要な役割を演じてきた。しかし現在の公的病院は多くの問題を抱えており,互いの長所を伸ばし,短所を補い病院統合を行なうことは地域医療再生のために重要である。兵庫県は各県立病院の診療機能の再編・充実を図るため「県立病院の基本的方向」を平成17年2月に策定したが,その後の医療情勢の大きな変化に対応するため,平成20年11月~平成21年10月に14名の外部有識者や私共尼崎病院と塚口病院の院長からなる両病院の統合再編検討委員会を設置し,さまざまな角度から検討した結果,両病院の新築移転が望ましいという「尼崎病院と塚口病院の統合再編検討報告書」を平成21年10月に発表した。並行して平成21年1月に「病院構造改革推進方策(改訂版)」を策定し,県立尼崎病院と県立塚口病院の統合再編の具体的検討がスタートした。最終的に平成22年12月に「尼崎病院と塚口病院の統合再編基本計画」を公表し,両病院は統合した上で26年度末に新築移転することが正式に決定された。地域医療再生のためとは言え,異なる地域でそれぞれ76年と45年という長きにわたって地域の基幹病院として,地域に根差した伝統を持つ2つの県立病院が1つになることは地域医療にプラスとマイナスの大きな影響を与え,全体としてプラスが大きくなり統合が成功するためには越えるべき大きな課題が多数ある。特に重要なことは2つの病院の内部での医療者の結束・協力はもちろんであるが,同時に医師会や地域の病院,市民,患者さん,行政とよく相談して,統合病院を一緒に共働作業で造って行くという姿勢である。
 兵庫県では「共働作業」の「働」という文字を,辞書の同という字ではなく,「共に働く」という字を使っている。そういう「共働作業」が大事で,この連携がうまくいかないと,今度の統合病院も,せっかく新しいものを造ってもうまく行かないと考える。
 私は14年間の岐阜大学循環器・呼吸器内科教授を経て平成18年から兵庫県立尼崎病院の院長になり,統合問題に関与してきたが,23年4月からは県立塚口病院の院長も兼ねることになった。4年後の両病院の統合・新築移転を我が国の病院統合のモデルケースにしたいので,ご紹介したい。
 以下の順番に述べさせていただく予定である。

1.病院統合の目的―経営改善のためではなく,時代のニーズに合ったより良き医療の提供―
2.「公立病院改革ガイドライン」―基本的考え方と具体策について―
 1)基本的考え方について
 2)具体策について
3.兵庫県での取り組み:市民病院間,市民病院 と民間病院との統合 4.兵庫県での取り組み:県立尼崎病院と県立塚口病院の統合―統合移転のモデルケースを目指して―
 1)阪神地区の救急体制―“たらい回し”が最も多い地域―
 2)兵庫県立尼崎病院と塚口病院の現状
 3)統合の具体的プラン
 4)統合の問題点

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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