日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS1-5
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放射線技師による原発事故と被曝の説明会開催報告
川上 典孝
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キーワード: 被曝
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抄録

目的  原発事故による放射性物質の飛散は、地域住民に放射線による被曝や放射性物質による汚染に対する不安や、身体的な健康に影響を及ぼす不安などの心理的変化が生じている。 原子力安全委員会が作成した「原子力施設等の防災対策について」に記載されているメンタルヘルス対策の一部に「アウトリーチ活動(医療関係者等が周辺住民等のところへ赴き、援助を提供すること)」がある。周辺住民と接することにより不安を軽減し、安心感をもたらすこと、心理的変化が強い者を把握し対応すること、周辺住民等が必要とする情報を提供すること等の役割を担い、適切に実施する必要がある。 当院は福島第一原発から約60kmの地点にあるが、幸い空間線量は5月時点で約0.25μSv/hと低く、今後新たな放射性物質の飛散が無ければ周辺住民に健康への影響が出る可能性は非常に低い。  不安を抱いている住民へ子供でも安心して住める地域であることを伝えるべく説明会を開催したので報告する。 方法 原発の状況と空間線量、被曝による身体への影響について、県や政府、国際機関、研究機関、各医学会が発表していることをまとめた資料を作成し、院内掲示および説明会を開催した。 結果  5月22日時点で4回開催、約170名参加。うち61名からアンケートを得た。結果、説明会を聞く前に気になっていたことで最も多かったのは「いつ原発は落ち着くのか?」81%、次いで「将来的な健康への不安」64%、「政府は嘘を言っているのではないか?」51%、「自宅の畑で採れたものは食べても大丈夫か?」47%、「子供の健康への不安」43%であった。   説明会については「参加して良かった」87%、「不安が解消された」54%であった。 考察  放射線技師でも住民の不安を解消することは可能であった。もっと早い時期に説明会を開いていればデマや間違った情報に惑わされる住民を減らせた可能性があった。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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