日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2D-14
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透析患者におけるMalnutrition-Inflammation Score(MIS)およびGeriatic Nutrional Risk Index(GNRI)の予後予測指標としての有用性
永井 司伊藤 康久
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キーワード: 透析患者, MIS, GNRI
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抄録

Malnutrition Inflammation Score(MIS) および Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)は透析患者における主要な栄養スクリーニングツールであるが、予後予測指標としての有用性も指摘されている。今回われわれは、血液透析患者65例(男/女=43/22、年齢63±13歳、透析期間58±47ヶ月)を対象にMISおよびGNRIを測定し、栄養指標、QOLおよび予後との関連性を検討したので報告する。栄養評価には、Alb,CRP,TIBC,T-chol.,蛋白異化率(PCR),上腕周囲長(AC)および体格指数(BMI)を用い、QOL評価にはSF-36を用いた。予後との関連性は、MIS/GNRI評価後1年間の入院のリスク(入院回数と入院期間)を比較した。MIS評価では21例(32%)、GNRI評価では37名(57%)が栄養障害リスクありと判定され、両者の判定合致率は69%であった。MIS、GNRIともに栄養障害リスクあり群のAlbとACが有意に低値であり、QOLスコアも低下していた。観察期間中18例が入院し、うち2例が死亡した。入院に対する相対危険度はMISリスクでは1.33、GNRIリスクでは1.51であった。患者・月あたりの入院回数は、MISリスク(+)/(-)=2.04、GNRIリスク(+)/(-)=1.74であり、入院期間はMISリスク(+)/(-)=2.96、GNRIリスク(+)/(-)=2.28であった。MISおよびGNRIは透析患者における栄養評価指標となるばかりでなく、予後予測指標としても有用なツールとなりうると考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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