日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2D-19
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愛知県三河中山間地域における住民の生活状況
- 「いきいき生活支援」アンケート調査結果からの考察 -
杉浦 正士早川 富博
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抄録

【はじめに】
 足助地域など豊田市の中山間地域においては、市街地と比較して人口の減少と高齢化が顕著であり過疎化が急速に進行している。また、平成17年に旧東加茂郡と旧豊田市が合併したことにより、それまで地域の実情に即して実施されてきた各種の公共サービスが全市の均衡の中で縮減されてきた。
 このような状況の中、平成22年度経済産業省「医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業」の採択を受け「いきいき生活支援」アンケート調査を実施したところ、高齢者を中心とした中山間地域の生活状況について有用な知見が得られたので報告する。
【対象および方法】
対  象:豊田市中山間地域および設楽町の全戸 9,296戸
回答者 :19歳以上としたが3名以上の該当者がいる場合は高齢者から3名回答とした
実施期間:平成22年9月15日から10月31日
調査内容:地域での生活状況を中心に60問
配布方法:各地区区長会を通じて全戸に3部の調査用紙配布
回収方法:返信用封筒にて当院へ郵送
【結果および考察】
 配布した9,296戸に対し5,038世帯から11,192名の回答が寄せられた。多くの結果が得られたが、地域状況を表す主な結果は以下のようであった。
 1.独居および老夫婦世帯が非常に多く50%を超える地域もある
 2.不便ではあるが住み続けたいと希望する高齢者が多い
 3.地域交通が他の市町村と比較すると充実しているが利用は少ない
 4.高齢者の自家用車運転が多く、85歳以上でも手放せない
 5.高齢者の外出機会は少なく、とくに幹線道路から離れた地域では少ない
 6.イノシシなど獣害が多い
 以上のように中山間地域での生活は都市部と比較すると多くの特色がある。特に外出機会は手段が少ないこともあって非常に少なくなっている。
【まとめ】
 中山間地域での生活は都市部と比較すると多くの課題のあることが明らかとなった。今後は、地域唯一の総合病院である当院が医療・保健・福祉のみでなく医療周辺の生活支援についても積極的に貢献していくことが重要と考える。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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