日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E-08
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当院における胃瘻カテーテル交換の合併症に関する検討
西脇 伸二岩下 雅秀林 基志高田 淳田上 真畠山 啓朗林 隆夫前田 晃男齋藤 公志郎
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キーワード: 胃瘻, 胃瘻カテーテル
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抄録

はじめに:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の増加につれ、胃瘻カテーテルの交換件数も増加しつつある。しかしカテーテル交換に伴う重篤な合併症の報告もあり、より安全な交換方法が検討されている。今回我々は2000年以降に当院でカテーテル交換を行った症例について検討し、合併症の分析とその防止策について検討した。 対象と方法:当院において2000年3月より2011年5月までに胃瘻カテーテル交換を行った352症例(平均年齢80.7±8.7歳、男:女=112 : 240)について、交換方法、胃内再留置の確認方法、合併症の種類とその対策について検討を行った。 結果:上記期間にのべ1281回のカテーテル交換を行った。交換カテーテルの内訳はバンパー型1266回、バルーン型15回であった。交換方法は経皮的交換が1275回、内視鏡的な交換が6回であった。カテーテルの胃内再留置の確認法はX線が1206回、内視鏡が43回、スカイブルー法が32回であった。合併症は16例(1.2%)に認められ、その内訳は瘻孔損傷11例(8.5%)、出血4例(0.3%)、チューブ破損1例(0.1%)であった。瘻孔損傷症例はガイドワイヤー法3例、経瘻孔内視鏡法8例により全例修復し、カテーテルの再留置に成功した。出血例はいずれも抗凝固剤または抗血小板剤が投与されており、2例は内視鏡的止血術、2例はバンパーの圧迫により止血した。 考案:カテーテル交換に伴う合併症の中では瘻孔損傷の頻度が高かったが、交換後栄養剤の投与前に診断し、瘻孔を修復することが必須である。その際、経瘻孔内視鏡は短時間に確実に修復することが可能であった。出血予防には抗凝固、抗血小板療法を中断することが推奨されるが、中断不可能な症例に対しては交換方法や使用するカテーテルに配慮する必要があると思われた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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