日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E-09
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最近になり増大傾向を示した膵内分泌腫瘍の一例
高橋 啓飯田 辰美岡田 将直水谷 憲威
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キーワード: 膵内分泌腫瘍
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抄録

最近になり増大傾向を示した膵内分泌腫瘍の一例 西美濃厚生病院 外科 高橋啓 飯田辰美 岡田将直 水谷憲威 症例:66歳女性。 既往:高脂血症および頚椎症で近医通院中。 主訴:尿潜血 現病歴:主訴により近医を受診した際に腹部CTを施行され、膵頭部に45mm大の腫瘤を指摘された。腫瘤の境界は明瞭で腫瘍マーカーの上昇もなく、自覚症状も認めないため経過観察となった。3ヶ月後の腹部CTで腫瘤は47mm大に増大傾向を認め、精査加療目的で当院を紹介受診した。 検査:腹部CTでは比較的均一な低吸収域で、造影では不均一な増強効果を認めた。MRIで腫瘤はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を呈した。EUSでは39mm大の低エコー腫瘍で血流は乏しかった。血液検査では明らかな異常を認めなかった。ICにより生検は施行せず切除術となった。 手術:膵頭十二指腸切除術を施行された。腹水、肝転移、腹膜播種は認めなかった。腫瘤は膵鈎部にあり、均一に軟で、胆管、膵臓など周囲組織に浸潤傾向を認めなかった。切除標本では腫瘍境界には薄い線維性皮膜を認め、一部浸潤傾向を認めた。Well differentiated endocrine tumor, uncertain behavior medullary type, INFα, ly0, v0, ne0, mpd(-), pN0(0/7)と診断した。 結語:膵内分泌腫瘍は比較的稀で、その術前診断が困難であるため手術時期の決定が難しいことが多い。本例のごとく径40mm程の大きさと画像上の増大傾向が認められれば、確定診断が無くとも切除が望ましいと考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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