日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS2-1
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茨城県鹿行地域におけるCKD(慢性腎臓病)対策と現状について
医師による病診連携と看護師・保健師による地域連携の活動?
植田 敦志森本 まどか永山 和宜湯原 孝典田畑 均箕輪 明美飯村 早苗森田 町子
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抄録

慢性腎臓病(CKD)患者に対し、早期から適切な治療を行うことは、腎不全の進展と新規透析導入患者を抑制するために重要である。茨城県の5つの市からなる鹿行(ろっこう)地域は人口27万人を有するが、医療過疎により腎臓専門医は3人しかおらずCKD対策は遅れていた。2008年より当医師会が厚生労働省と日本腎臓財団主導で始まったFROM-J(腎疾患重症化予防のための戦略研究)の対象に選ばれ、かかりつけ医と基幹病院の専門医が連携してCKD治療を行うプログラムが開始された。また、交流の乏しかった地域の保健師と基幹病院の看護師もCKD対策の連絡会を立ち上げ情報交換を行っている。現在2つの市の保健師から1年間に約50名のCKD患者の紹介を受け、CKDの精密検査、蓄尿に基づく食事指導、生活指導等を当院で行っている。これまでは、連絡会を通して経過をフィードバックしてきたが、今回独自のCKD連携パスを作成し、この運用によって連携強化を図っていくところである。 これまでは、医師による病診連携を中心としたCKD対策を実施してきたが、必ずしも連携が十分に機能しているとは言えなかった。地域の保健師の協力は、新たなルートでの患者と病院とを連携し、CKDの早期発見、治療に有用であると考える。現段階では、これらの活動が腎不全の進行を抑制したとは言及できないが、ある市では、国保加入者による特定健診と16~39歳までの生活習慣病予防健診には尿タンパクと血清クレアチニンの測定のみであったのが、平成22年度より尿潜血が追加測定可能となり、我々の活動が腎関連健診項目の拡大に結びついたと評価できよう。現在、院内腎臓サポートチームによるCKD対策も院内にとどまらず、地域に開かれた集団指導を実施しており、腎臓専門医のボランティアによるCKD啓発活動の事例と合わせて報告したい。課題として医師会、学会、行政において、CKD対策の取り組み方に差があり調整に難渋することが挙げられる。このように医師、看護師、保健師など多職種によるシステム作りと、運用を円滑に進めるための各人の地道な努力こそが、地域連携を生かしたCKD対策に重要である。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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