日本農村医学会学術総会抄録集
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ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2G-2
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当院における医療材料の適正使用と安全管理に向けた薬剤部の取り組み
吉廣 尚大中島 恵子竹内 邦夫吾郷 志津枝新宅 祐子寺澤 千佳子大田 博子
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抄録

【目的】輸液ライン製品(以下、ライン)の適正使用を目指し、当院採用品を再検討するとともに、医療現場における使用状況を調査し、その適正使用のために輸液ライン一覧表(以下、一覧表)を作成したので報告する。【方法】病棟のライン使用状況を把握するために、病棟勤務の看護師(外科 28 名、腎臓内科 26 名、循環器内科 17 名、集中治療室 20 名)を対象にアンケートを行った。また、当院採用ラインの材質・フィルターの有無・ポンプ使用の可否を調査及び整理、当院採用注射剤のうちポリ塩化ビニル(以下、PVC)製品やフタル酸ジエチルヘキシル(以下、DEHP)含有製品を避けることが望ましい薬剤の一覧を作成した。【結果と考察】アンケート調査の結果、アミオダロンがPVCフリーの延長ラインで投与できていないことが明らかになった。脂肪乳剤についてはPVCフリー等対応策を認識している看護師は 50 %程度、アミオダロン、タクロリムス、アムホテリシン B リポソーム製剤に対して同様のルート選定の必要性を理解していない割合は 41 %、55 %、45 %であり、ラインを選択する際に統一した基準を設ける必要性が認められた。また、69 %の看護師は先輩から注射剤とラインの組み合わせを学んでいた。ラインの知識は40 %が口頭伝授で 42 %が病棟用マニュアルから得ていた。全回答数のうち 13 %は薬剤師からの情報提供を求めており、薬剤師にも豊富なライン知識の必要性が示唆された。そこで、薬剤師が各職種の意見をとりまとめてラインの選定を行った結果,院内で延長ラインをPVCフリーに統一し、ラインの採用数を 24 から 20 品目まで削減できた。一覧表にはラインの写真,材質,ポンプ使用の可否、適応薬剤の情報などを記載した。しかし,一覧表の使用状況の調査では,一覧表の認知率は 56 %であり,更に情報を淘汰し現場に即した一覧表に改訂することが今後の課題と考える。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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