日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2G-4
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当院放射線技師のインシデント・アクシデント報告の傾向と意識調査
児玉 吉彦八木 秀視小幡 久子玉内 登志雄
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抄録

Abstract 〔はじめに〕医療事故防止対策においてインシデント・アクシデントレポート報告書(以下レポート)の提出は、重大事故の潜在を早期に認識するためのパイロット的役割をはたす。当院では、2005年から医療安全管理室が中心にレポートの集計・分析を実施している。2007年度より放射線科(以下当科)における“誤認”関連のミスを減少すべく誤認防止対策手順を見直した。今回、当科におけるレポート内容の分析とレポートに対する放射線技師(以下技師)の意識調査について報告する。 〔調査方法〕2006年4月から2011年3月5年間の技師のレポート集計、内容及び提出数の傾向の把握、及びレポートに関する意識調査結果と提出数との関連の検討。 〔結果〕担当別提出割合は一般撮影系:56.8%、CT:17.6%、MRI・超音波・X線TV:各5.4%、出張検診:4%、血管撮影・人間ドック:各2.7%。対象期間の在籍年数と平均年間提出数から5年以上在籍者に提出不良。機器故障を除く60件の内訳は“誤認”関連:46.6%、“入力ミス”関連:20%、“身体損傷” 関連:11.7%、その他:21.7%。意識調査ではレポートの重要性の認識は91%、提出頻度は“ほぼ提出”が36%。レベルの内訳は、“レベル0”:8.1%、“レベル1”:66.2%、“レベル2”:25.7%、“レベル3”以上:0%。誤認防止対策はマニュアル通りの実施が73%。 〔考察〕意識調査からレポートの未提出が相当数に上ると推測され、提出を促す環境作りと教育が必要と思われた。また頻度の高い“誤認”関連では、防止対策により部位誤認は減少傾向だが、指示受け違いは増加傾向で、実務検証の結果、誤認防止対策手順の不徹底が確認された。一方、手順不徹底でも患者自身からの情報提供を積極的に促したことによって水際で誤認を防止できた事例もあり、患者参加型の医療安全の体制作りが重要と考えられ、その系統的な手順の構築が必要である。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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