日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2G-14
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病院職員のメンタルヘルス向上をめざして
職員の燃え尽き防止・離職防止と医療サービス向上のために
衛藤 進吉鎌田 陽子吉田 優子佐藤 美津子
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抄録

(背景)休職や治療を要するストレス性障害やうつ病の職員が増え、また看護職員の離職者も多く、医療職場のメンタルヘルス問題は深刻になっている。その対策として、当院では、平成21年4月より院内に多職種からなるメンタルヘルス委員会を立ち上げ、職員のこころの健康対策に取り組んでいる。 (目的)部署別、勤務年数別、年齢別、性別、生活状況別などの要因分析を行い、医療現場のストレス状況を把握し、必要で有効なメンタルヘルス対策を立て、それによりメンタル不調職員を減らし、離職を防ぎ、職場の雰囲気を改善し、患者への医療サービスの向上を目標とする。 (方法)当院職員全員を対象に、春と秋の2回、職員健診時に自記式質問紙(職業性簡易調査票、バーンアウト尺度(田尾)、院内暴力項目)に記入してもらい、職員健診の際に個別に当院健康管理課で回収し、集計と統計処理を行った。事前に調査の目的と個人情報の取り扱いに関して文書で説明し、同意を得ている。 (結果)平成22年度について、全体では約10% の職員が高ストレス状況にあった。約5%の職員が高ストレス性心身反応を示していた。部署毎にこれらの比率をみると、バラツキが大きく、内科急性期病棟では高ストレス状況職員比率は25%を超えていた。精神科病棟、整形外科病棟、内科急性期病棟では高ストレス性心身反応職員比率は10%を超えていた。約2割の職員がバーンアウトハイリスクであった。これも部署毎のバラツキが大きく、内科急性期病棟では約3割であった。バーンアウトハイリスク職員の約半数(約1割)は暴力ストレスを伴っていた。 (考察)医療職場では部署毎のストレス状況のバラツキが大きく、その実態を把握した上で、ストレス度の高い部署への対応、高ストレス性心身反応職員の多い部署への対応を今後検討する必要がある。暴力ストレスの高い約1割の職員に対してバーンアウト防止の対策を講じる必要がある。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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