日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS2-4
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かかりつけ医カードと医療情報のネットワーク化による医療連携システムの構築
-利根保健医療圏における地域医療再生計画-
井坂 茂夫
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抄録

埼玉県東北部に位置する利根保健医療圏(6市3町、人口66万人)では、平成22年度地域医療再生基金の交付により、6億4千万円の予算でIT技術を活用した地域医療連携システムを構築することが決定された。この地域では以前から地域完結型医療体制の構築に向けて、医療連携の重要性が認識されており、行政による地域医療連携を考えるシンポジウムが開催され、地域中核病院では顔の見える連携を目指して連携会議を開催するなど現場での動きが先行していた。その中で、糖尿病について2人主治医制を提唱し実践するなどの実績を上げてきていた。今回の事業計画では、まず第一の柱として「IT技術を活用した地域医療連携システムの構築」があり、地域の病院・診療所、診断及び検査センターなどを相互に接続して患者情報の共有化と医療機関の連携を促進する。第二の柱として「かかりつけ医カードの発行・普及」があり、複数の医療機関を受診した患者について、地域IDを共有することで診療情報の共有化を図る。救急対応時にも患者情報の把握が可能となり、適切な搬送先の選択を可能にする。患者自身にとっても自分の健康管理に活用することができる。第3の柱として「生涯電子カルテの構築」がある。持続的な地域医療の質の向上や効率化に向けた疾病管理システムを構築し、急性疾患モデルとして、脳卒中を、慢性疾患モデルとして糖尿病を取り上げ、地域連携パスをITネットワーク上で運営することを目指す。構想実現に向けて加須市が中核的事務局となり、関係行政機関代表、医師会代表、中核病院代表などからなる“埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会”が組織され、平成24年度にネットワーク運営がスタートするべく頻回に会合を重ね具体化構想を協議中である。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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