日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS3-1
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当院におけるサイトメガロウィルス肺炎のPCRを用いた検出
池田  聡深澤 徳行本間 恵美子山之口 早苗鈴木 恵子
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キーワード: CMV, PCR, 感染症
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抄録

【背景】免疫力の低下によって起こる日和見感染症は、エイズなどの後天性免疫不全や悪性腫瘍の化療後、骨髄移植などでの免疫抑制状態の場合には重要な問題となる感染症で、経気道感染によるニューモシスチス肺炎(旧名カリニ肺炎)やサイトメガロウィルス肺炎がその代表である。これ等の患者ではこの感染症は致死的な重篤な症状になるが、適切な早期治療には著効するため早期診断、早期治療が必須である。当院においても特に血液内科病棟、呼吸器内科病棟ではこれ等の発症の可能性が高く早期診断の必要性もあり、病理部でこれらの感染症の遺伝子診断を2000年より開始している。ニューモシスチス肺炎(以下PCP)については過去に当学会で発表したが、サイトメガロウィルス肺炎(以下CMVP)についても同様に院内検査を行なってきたので今回その現状、有用性について報告したい。【現状】CMVのPCR条件はPCPと同一であり一般的な定性的PCR法である。材料は喀痰または気管支洗浄液であり、当院では2010年6月までに162件の検査依頼があり陽性例は21例(13%)あった。ちなみにPCPは227例中40例(18%)であった。同一検体で両方のPCRの依頼がある場合が多く、両方ともに陽性となった症例も8例(4.9%)あった。【有用性】CMVPでは呼吸器細胞診標本でふくろうの目と呼ばれる感染細胞を見つけることが直接の診断根拠となるが、実際にこの細胞を標本上見つけることは非常に少ない。また血中の抗体価を調べてもCMVはもともと潜伏感染しているため抗体価の上昇は意義が低い。唯一、血中の抗原を直接検鏡して確認するアンチゲネミア法が病態を反映し有用であるとされているが、この検査は体内のCMVの活性化状態を見ているだけで直接肺炎の原因を特定しているものではない。さらにこの検査は非常に手技が煩雑で院内で行なうのは難しい。それに対しCMVを細胞診材料でから検出できるPCR法はPCPのPCRと合わせて行なうことで症状や画像が酷似する両肺炎を直接鑑別できる。さらに検体の到着した翌日にはPCRを行い結果報告するため早期に結果が臨床に反映でき、その有用性は高いと思われる。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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