日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-A-18
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学習療法の実施に向けて
柴田 崇功林 明美小幡 美穂安藤 寿代
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抄録

はじめに
 学習療法は、認知症高齢者の前頭前野の機能改善策の1つとして、簡単な計算や音読を行うことにより、コミュニケーション機能、認知機能、身辺自立機能を維持、改善を図るといわれている。近年、学習療法は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、グループホームなどで実施され成果を上げている。 今回当院においても学習療法を行ったところ「支援者が学習療法を通じて関わり方を学び継続の必要性を感じ個別ケアのツールとして学習療法の導入に向けて基盤ができた」など成果が得られたので報告する。
研究方法
1.対象および実施者
 当病棟入所中の患者4名に対し支援者(看護師1名、介護福祉士2名)が学習療法を実施した。
2.研究期間
 平成22年8月1日~平成23年1月31日
3.実施方法
 学習療法実施前後にFAB(前頭葉機能検査 18点満点)およびMMSE(全般的認知機能検査 30点満点)の評価を行い、各評価指標の点数変化により学習療法の効果判定を行った。また、実施中の状況や発言なども記録することにより点数評価のみでなく積極性や表情などについても変化を観察した。
結果
 今回の取り組みにより以下の4点が明らかとなった
1.4名の患者に学習療法を行った結果、検査値が上昇した
2.学習者の認知症症状の改善、脳の活性化が僅かながら図れた
3.支援者(スタッフ)のコミュニケーション能力の向上につながった
4.今後継続して行うための基盤となった
終わりに
 今回、4名の患者に学習療法を行ったところ、検査数値の上昇があり、4名の患者が楽しいと言われ表情や感情面、認知機能面に良い効果となった
今回の学習療法に取り組むために、学習療法士の資格を取得して学習療法の実施に臨んだが、患者と関わる中で残存能力の発見やコミュニケーションの大切さを学ぶことができた。現在は個々の状況に応じた個別ケアが求められている。個別レクリエーションを提供するためにも、学習療法がケアを向上するためのツールとして導入して病棟全体の看護、介護の質の向上につなげていきたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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