日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-A-22
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脳血管疾患患者の肺合併症予防・早期発見
~看護師の意識向上をめざして~
黒崎 瞳小島 慶子山本 貴子山口 佳奈江関田 洋子田内川 明美 
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抄録

<はじめに>
脳疾患患者は呼吸筋の麻痺や委縮・咳嗽反射の低下、長期臥床により肺合併症発生リスクが高くなる。
A病棟は2010年1年間で脳疾患患者のうち意識レベルJCS_III_桁・挿管患者の40%が肺合併症を発症していた。そこで、スタッフの呼吸ケアに対する意識の向上が必要だと感じ勉強会・チェックリスト表を用いた結果、呼吸ケアに対する意識向上につながったので報告する。
<研究方法>
1 期間:2011年1月~4月
2 対象者:病棟看護師23名
3 方法:
(1)呼吸理学療法の勉強会
(2)呼吸ケアチェックリストの作成・活用
(3)勉強会・チェックリスト使用前後でのアンケート調査
<倫理的配慮>
アンケートは個人が特定できないように無記名とし、知りえた情報は研究以外に使用しないことを説明した。
<結果>
勉強会への出席率は52%。欠席したスタッフにも勉強会のプリントを配布した。
呼吸ケアはチェックリストを用い清潔ケア時・検温時に観察した。
アンケート回収率は勉強会前後ともに95%であり、チェックリスト使用率は78%だった。
アンケート結果では背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフは勉強会前0%、勉強会後95%であった。
またチェックリスト活用後はステートを持ち歩くようになったと100%回答し、チェックリスト以外でも肺音を聞くようになったスタッフ90%であった。
<考察>
勉強会後に背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフが増加した事から、実施不十分だった背景には知識不足や意識が低かった事、が考えられる。また、一人では体動不能な患者の背部聴取が困難であったが2人で実施することで統一が図れた。このことから多忙な業務の中でも日常業務の1つとして根拠をもって呼吸ケア実施することで、意識付けにつながったと考えられる。
<まとめ>
肺ケアに対する看護師の意識向上には、観察やケアの根拠や必要性を理解し、日常業務の中にとりこみ継続していく事が有効である。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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