<研究目的>人工肛門を造設した患者が退院後、人工肛門の管理・日常生活で困っていないか実状を知り、入院中の指導の問題点を明らかにし、今後の課題を見出す。
<研究方法>平成19年4月~平成22年5月の期間中に永久人工肛門を造設した13名に、独自のアンケート用紙を作成し郵送方法により配布、回収した。
<倫理的配慮>文書にて本研究の趣旨・方法、研究参加の自由、プライバシーの厳守・参加拒否権利、調査結果は厳重に管理すること、個人が特定されない形で研究結果を発表することを説明し、返送にて同意を得た。
<結果・考察>11名(回収率 85%)の回答があった。退院後何らかの問題に直面した人が6割を占めていた。退院後人工肛門の管理に困った経験がある人は7名・退院後日常生活に困った経験がある人は3名であり、退院後実際の生活に戻り経験することで戸惑うことが多くある。入院中より患者個々の生活スタイルに沿った指導が必要である。
パンフレットは5名が活用できたと答えた。退院後の生活についてのパンフレットは退院が決まってから渡すため、一方的な指導となり十分な活用にいたっていないと考える。術後早期より渡し繰り返し説明し退院後活用できるようにしていく必要がある。
入院中の指導で満足できなかった理由として、看護師によって指導内容が違う・装具交換に不安を抱えたままの退院となったなどをあげた。人工肛門指導に携わる看護師に経験の差があり、指導が統一されていない。指導要綱を整備し、一貫した指導ができるようスタッフ全体の指導レベルの向上が必要である。
<おわりに>在院日数の短縮により、入院中に全ての指導が十分に行えない現状にあるため、外来受診時に退院後の生活を確認するシステムを構築していきたい。