日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-B-10
会議情報

当院の嚥下外来の現状と言語聴覚士の関りについて
渡辺 亜美古田 さやか横山 壽一横山 善至浅井 雅幸
著者情報
キーワード: 言語, 嚥下
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

[はじめに] 近年摂食・嚥下障害を有する患者は増加傾向にある。そのため当院では2009年より耳鼻咽喉科に嚥下外来を開設し嚥下内視鏡検査(以下VEとする)が行われるようになった。今回は嚥下外来の現状と言語聴覚士(以下、ST)の関わりについて報告する。[対象と方法] 2010年4月~2011年3月にVEを施行した41名を対象とした。方法として初回VE前の食形態とVE目的から、絶飲食で嚥下訓練適応判定をA群、ゼリー食で直接訓練適応判定をB群とした。ペースト食で食形態向上判定をC群、常食で食形態妥当性判定をD群とした。診療録よりVE 後の食形態、VE回数、嚥下訓練終了時の食形態、訓練期間、転帰を調査した。[結果] A群は23例、発症から初回VEまでの期間は平均23.9日、VE回数は平均5.2回であった。VEの結果から絶飲食継続は10例、ゼリー食9例、ペースト食3例、刻み食1例であった。平均訓練期間は65.1日で、訓練終了時に食形態が向上していた例は12例であった。また、食形態が維持または低下した11例のうち6例が死亡転帰であった。B群は6例、VE結果からゼリー食継続は3例、ペースト食3例であった。平均訓練期間は53.3日でVE後の訓練開始前より食形態が向上したのは4例であった。C群は8例、D群は4例で両群ともに訓練終了時に食形態が低下した例はなかった。[考察] VEは検査室確保がいらずベッドサイドで可能である。当院では観察結果をすぐにフィ-ドバックしたい為VE実施時はSTも同行している。また病棟でも統一されたアプローチができるよう、食事の手順を示したポスターを病室に掲示するなどの工夫も行っている。今回A・B群では食形態が向上した例が半数であった反面、維持または低下例も半数存在しており、嚥下訓練には十分なリスク管理とチームアプローチは重要であり、VEなどの客観的な検査は必要である。STも現状の情報提供に加え、家族への嚥下体操や咽頭のアイスマッサージなどの指導をしていきたい。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top