日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-B-12
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茨城県つくば・土浦地区で上気道から分離した肺炎球菌の薬剤感受性とその推移
廣瀬 理恵子酒寄 祐子福島 由美子篠崎 ひとつ阿部 真希子宮本 和典
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キーワード: 肺炎球菌, 薬剤感受性
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抄録

[目的]肺炎球菌は、中耳炎、副鼻腔炎、市中肺炎、髄膜炎の起因菌として分離頻度の高い菌である。近年、従来有効だった抗菌薬に対して、耐性を獲得した菌の分離が増加している.しかし、薬剤耐性肺炎球菌の分離頻度には地域差がある。このため、茨城県つくば・土浦地区で分離した肺炎球菌の薬剤感受性を測定し、この地区での耐性化を調査した。
[対象]2002年7月から2003年6月(以下2002-3期)と2009年4月から2010年3月(以下2009-10期)に、つくば・土浦地区の病院・診療所で、耳・鼻・咽頭・気管・気管支の分泌物から分離した肺炎球菌を収集した。同一患者から複数回菌を分離した場合は、各期内で最初の分離した菌を対象とした。薬剤感受性は、ドライプレート(栄研化学)を用いた微量液体希釈法で最小発育阻止濃度を測定し、Clinical Laboratory Standard Institutionのブレークポイントに則って判定した。
[結果]2002-3期と2009-10期に分離したそれぞれ109株と94株のうち、ペニシリンG(PCG)、セフジニル(CFDN)、アジスロマイシン(AZM)、レボフロキサシン(LVFX)に対する感性株の比率は、下表の通りだった。LVFXを除き、2009-10期では感性株の比率が低下していた。
[考察]つくば・土浦地区で分離される肺炎球菌は、フルオロキノロン耐性株は稀なものの、ペニシリン、セフェム、マクロライド系に対する耐性化が進んでいると考える。今後この地域の肺炎球菌の薬剤感受性がどう変化するのか、調査を続ける必要がある。
今回の発表にあたりご指導いただいた筑波大学病院、人見重美先生に深謝いたします。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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