日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-B-16
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子宮頚部細胞診における液状細胞診(LBC)と従来法の比較検討
土井 昭夫竹内 一郎谷貝 顯博渡辺 修
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キーワード: LBC, 液状, 細胞診
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抄録

【目的】子宮頚部細胞診における液状細胞診(Liquid Based Cytology:以下LBC)と直接塗抹法(従来法)について、異型細胞の検出率、標本作製および鏡検時間の比較検討を行いLBC法の有用性を検証した。
【方法】対象は当院婦人科外来で子宮頚部細胞診を行った50症例。採取器具はcervexブラシ(MBL社)、LBCはTACAS(MBL社)を使用した。採取はcervexブラシにて子宮頚部を擦過し、直接スライドグラスに塗抹する従来法の後、同一ブラシをLBC用の保存液に入れて回収するスプリットサンプル法を用いた。マニュアル法にてTACAS標本を作製した後従来法、LBC法ともパパニコロウ染色を行い、判定はベセスダシステムにて行った。判定結果は、マッチドペア・盲検試験法にて比較した。また標本作製時間+鏡検時間の比較も行った。
【結果】異型細胞の検出率は従来法:8%、LBC法:12%であった。標本作製時間は従来法:2.0分/枚、LBC法:4.5分/枚であった。鏡検時間は従来法:7.5分/枚、LBC法:3.0分/枚。標本作製+鏡検時間では従来法:9.5分/枚、LBC法7.5分/枚。合計時間では標本作製時間が余分にかかってもLBC法の方が時間短縮になっている。
【考察】LBC法の利点として、1.検体採取後の手技が容易。2.不適正検体の低減。(固定前乾燥標本など)3.スクリーニング精度の向上。4.鏡検時間の短縮。(標本塗抹面が13mmの円で細胞の重なりが少なくみやすい)5.HPV検査などの追加検査が同一検体で可能。等があげられる。一方検討点として、1.従来方よりコストがかかる。(保存液、専用スライドグラスが必要)2.細胞像の見方に若干の慣れを必要とする。等があげられる。 以上の点をふまえても、LBC法は利点が多く有用性があると考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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