日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS3-6
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妊娠後期の妊婦に発症したツツガムシ病の1例
竹之下 秀雄中村 聡一清水 孝郎山内 隆治
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キーワード: ツツガムシ病, 妊娠
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抄録

福島県は、ツツガムシ病の好発地域であり、届出患者数は、2009年が96人(当科は30人)、2010年は60人(当科で17人)で両年とも全国1位であった。2010年の当科の17人の中に、当科で第2例目となる妊婦に発症したツツガムシ病患者がおり、加療により軽快し無事出産できたので報告する。患者は27歳女性(2妊2産、妊娠32週6日)。初診時(第7病日)に、躯幹には辺縁が不明瞭な淡い暗赤色の播種状紅斑丘疹型の中毒疹様紅斑がみられ、左足首内側に刺し口があり、発熱しており、さらに肝機能障害、CRP上昇などの検査値異常がみつかり、ツツガムシ病を強く疑った。妊娠後期なのでミノサイクリン塩酸塩の投与で、胎児の歯の着色・エナメル形成不全や胎児の一過性発育不全を起こすことがあるため、初診日に同剤100mgの点滴静注を2回のみ施行したところ、軽快し、妊娠36週0日目に帝王切開で女児を出産した。ツツガムシ病リケッチア(Orientia Tsutsugamushi:OT)には各種の血清型が存在し、アカツツガムシはKato型OTを、フトゲツツガムシはGilliamまたはKarp型OTを、タテツツガムシはKawasaki型またはKuroki型OTをそれぞれ媒介することが知られている。本例では、これら6種類のOTのIgGとIgMを調べ、どのOTの抗体値が最も高いかを特定することができた。その結果、Kawasaki型のIgMが2560倍、IgGが160倍と最も高い抗体価を示したので、本例はタテツツガムシに刺されて発症したツツガムシ病であると判明した。出産時のKawasaki型IgM抗体価は、母体血が2560倍で、臍動静脈血には存在しなかったので、OTの胎盤感染はなかったと診断した。 

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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