日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-C-20
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食欲不振患者への個別対応食(選べるメニュー)の試み
中島 春香中島 みどり飯塚 真理子
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キーワード: 食事
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抄録

<目的>当院では、2008年7月より、治療や疾患により食欲が低下した患者に対して緩和ケア食(彩り食)の開発に取り組み10月より食事提供を開始した。彩り食はのどごしがよく、食べやすいものを少量彩りよく盛りつける点などに配慮したエネルギー1200kcal蛋白質35~40gの食事内容になっている。彩り食の喫食率は平均5割程度であり、もっと患者の嗜好に合わせた食事提供が必要ではないかと考えた。そこで今回個別に対応した「選べるメニュー」の用紙を作成・実施し、今後の課題を得たので報告する。
<方法>2011年4月から2011年5月までの期間で毎週月曜日に彩り食を喫食している患者に申し込み用紙を配布。当日回収と集計を行い、水・木曜日の昼・夕食時に選べるメニューを実施する。選択数はお膳の都合上5品までとした。
<結果>選べるメニューは66枚配布し17人の患者が選択した。メニューの選択数は、3品から5品で平均摂取カロリーは1食あたり269kcal・蛋白質8.1gであり彩り食と同じくらいの摂取エネルギーであった。喫食率に関しては選べるメニューを選択した時は少量上昇する傾向もみられた。選択肢で見てみると、主食はおにぎりやそうめん、主菜は奴豆腐・卵豆腐・うなぎ、副菜はスライストマト・ところてん、デザート類はシャーベット・果物(柑橘類以外)、その他として野菜ジュース・ジョアなどの飲み物を選択している事が多く、さっぱりした味付け・味がしっかりついている物を選択する傾向があることがわかった。
<考察と課題>彩り食を喫食している患者は悪性疾患の方が多く、1人1人が食に対して抱えている問題点が異なるためよりきめ細やかな個人対応の食事が必要であると考えられる。今回喫食率は、目に見えて上昇したわけではないが、個別対応の食事を提供していくことで食欲の上昇や選択する楽しみが増え患者自身のQOLの上昇に繋げられると考えられる。メニューの改良や病棟との連携など課題は多くあるが、患者の状態や嗜好に合わせた食事提供が出来るよう努めていきたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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