A病棟では、脳神経外科を中心とする患者が約8割を占め、検査やリハビリの為、膀胱留置カテーテルを挿入したまま車椅子に乗車する機会が多い。
これまで、膀胱留置カテーテル挿入中の患者が車椅子に乗車した際、尿パックの置き場が無く、サイドバーや座面に尿パックを置いていた。その為、患者の体に触れ、冷感や臭いが不快との訴えが聞かれた。また、スタッフ側も移送時に尿パックが車椅子に接触し、破損する危険や、逆流性感染などの感染リスクを感じていた。今回、尿パックの設置場所について、A病棟看護師およびリハビリ科スタッフにアンケート調査を実施し、90%以上のスタッフが尿パックの設置場所に悩んでいた事が分かった。
そこで、車椅子乗車時に患者が不快を感じず、尿パックと車椅子の接触による破損も防げ、感染や、プライバシーにも配慮した尿パックの設置場所を検討した。
結果、座面下の左右のパイプにベルトを通して固定し、そこに尿パックを掛けた。
その方法を実施した事で、(1)尿パックが患者の体に触れる事がなく、車椅子乗車中の患者の不快感を緩和する事が出来た。(2)尿パックが車輪に接触せず、安全な移送が出来た。(3)膀胱の位置より下にある事で、逆流性感染の軽減につながったと考えられる。(4)床に接触しない位置での固定により、逆行性感染に対して考慮する事が出来た。(5)周囲からも尿パックが見えづらく、プライバシーの配慮となった。(6)安価で、簡単に装着する事が出来る。などの効果が得られた。現在、病棟でも継続使用し、実用化につながっている。