日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: RKS1-2
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細菌性肺炎との鑑別に苦慮し、ステロイドとシベレスタットナトリウムの併用で救命しえた肺気腫に合併した重症急性間質性肺炎の1例
林 敬章大河内 昌弘服部 孝平郷治 滋希岩間  糾勝野  哲也浅田 馨後藤 章友神谷 泰隆大野 恒夫
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抄録

症例は、63歳男性。粉塵の職業歴なし。高血圧、慢性腎不全、肺気腫で近医通院中、H23年1月末より、喘鳴が持続し、さらに、呼吸困難を認めるようになったため、当院に搬送された。初診時、胸部に喘鳴を聴取するも下腿浮腫、頸動脈怒張は認めなかった。WBC14700(好中球優位)、CRP10.8mg/dl、プロカルシトニン1.12ng/ml, LDH 173IU/L, PaO2 45.1%, SpO2 75.8%(room air), 胸部X線&CT上、左上葉下葉にび慢性浸潤影を認め、両側胸水を認めた。心エコー上、左室壁運動は良好で、下大静脈拡張、右室拡大はなく、心不全の所見は認めなかった。胸水穿刺所見では、黄色の漏出性胸水で、ADA 5.4IU/Lであった。細菌性肺炎の疑いで、NIPPVによる呼吸管理に加え、抗生剤治療(Meropenem+Minocycline)を開始した。しかし、胸部陰影は5日間で急激に全肺野に広範に進展し、重篤な呼吸不全に悪化したため、人工呼吸管理に切り替えた。頻回の吸引痰検査では、有意菌の発育を認めず、喀痰中好酸球も認めずリンパ球の増多を認めた。結核菌培養、結核菌PCR、カンジダ抗原、β-D-グルカンには異常を認めなかった。状態悪化に伴い、抗生剤の種々変更にても効果なく、増悪期のCT上で牽引性気管支拡張所見は明らかではなかったが、SpA 273(高値)、SpD 508(高値)、KL-6 383U/ml(正常)を認めたため、急性間質性肺炎疑いと判断し、ステロイドパルス治療に加えて、シベレスタットナトリウムの併用治療を開始した。そうした処、急速に、肺野陰影の改善、呼吸状態は改善し、その後、ステロイドの漸減療法にても、肺野陰影の消失が得られた。1か月後の再検査では、SpA 194(高値)、SpD 235(高値)、KL-6 591U/ml(高値)とKL-6の上昇を認めた。抗核抗体、ANCAに異常を認めず、DLSTでも異常を認めなかったため、急性間質性肺炎のうちの非特異性間質性肺炎と診断した。その後退院し、ステロイドを漸減しているが、再燃なく、順調に経過している。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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