日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J-A-9
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農村高齢者の農作業実態調査
臼田 誠柳澤 和也広澤 三和子前島 文夫武林 亨西垣 良夫夏川 周介
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抄録

〈目的〉農村高齢者による農作業の実態を明らかにし、農作業を継続するための手がかりを探る。
〈方法〉対象者は長野県南佐久地域(佐久穂町と佐久市)に在住する農業者で本調査の主旨に同意した9人(男性4人、女性5人)で、平均年齢は74歳である。栽培作物は白菜、プルーン、葉物野菜、水稲などである。生活習慣記録機(スズケンライフコーダGS)と心拍・活動量などを記録するバイタルセンサー(WIN-RH製HRS-1)を対象者に装着し、農繁期(8月~10月)と農閑期(1月)に調査を実施した。その際、対象者には行動記録用紙への記載をお願いした。農繁期には対象者に同行する一日を設定して、タイムスタディ調査を実施した。
〈結果と考察〉今回、バイタルセンサーにより様々な農作業による対象者の平均心拍数ならびに活動量が数値化され、高齢者が実施している農作業の身体負荷が大きいことがわかった。対象者の主観的疲労度の多くが活動量・心拍数から想定される負荷と一致する傾向があった。農作業の姿勢の多くが深い前屈で、作業姿勢区分による「つらさ」ではもっともきつい範疇に分類された。高齢農業者の多くは同じ作業を長時間継続しないで、さまざまな作業を組み合わせて実施し、休憩をこまめに取るなどの工夫をしていた。 農作業後の腰や背中の痛みの訴えに対してはストレッチ体操などを日々の生活の中に取り入れるように働きかける必要があり、また、農閑期では農繁期に比べて対象者の農作業が少なく、活動量が著しく減少していたので、農閑期には何らかの体を動かす工夫が必要である。
同じ作業を長時間行わないなどの工夫と農作業自体を生きがいや楽しみ、健康のために実施しているという意識が高齢農業者の農作業継続に大きく働いているものと考えられた。
なお、この調査は農林水産省「農村高齢者の健康支援推進事業」の一つとして行った。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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