日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J-B-16
会議情報

外来化学療法患者における薬薬連携の取り組み
伊藤 麻紀宮田 香高谷 浩英齊藤 厚高橋 茂
著者情報
キーワード: 化学療法, 薬薬連携
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
〈目的〉昨今の化学療法の多様化に伴い外来での抗がん剤治療が増え、病院での点滴後に調剤薬局で薬を受け取る流れが出来ている。しかし調剤薬局では、告知の有無も含めて抗がん剤化学療法に関する知識が乏しく、また患者の治療計画、治療段階、状態等を知る手だてがなかった。休薬期間を要するなど服用方法の複雑化によるコンプライアンス低下も懸念される。そこで患者により有益な服薬指導が出来るよう、病院薬局との情報の共有化を含め薬薬連携の在り方の模索を始めたので、その経過と今後の展望について報告する。
〈事例の概要〉まず処方箋発行元の仙北組合総合病院薬剤科との話し合いから始め、お互いに必要とする情報の交換、治療スケジュールに関してのレジメンの提供、指導ツールの共有化を行った。その後病院薬剤師による外来での化学療法開始時の患者説明への立ち会い、病院薬剤師や医師による抗がん剤化学療法・服薬指導についての勉強会を開催した。また薬剤を限定したうえで服薬スケジュール表の提供を受け、調剤薬局での患者服薬指導の実施へと繋げた。更に告知の有無等を確認する窓口を病院薬局とし、入院時から継続した指導を行えるようなシステムの構築を図った。
〈結果及び考察〉化学療法開始時の説明に立ち会った患者には、現在は毎回同じ担当薬剤師が対応している。病院薬局との連携により情報が共有され、問い合わせのルートが確立された。告知の有無がわかることで窓口対応での戸惑いも軽減された。今後は薬剤の種類を広げ対象患者を増やしていく事と、薬剤師全員が関わる様な体制作りが必要となる。抗がん剤治療に対する患者の不安を和らげ服薬コンプライアンスが遵守されるように、また副作用の早期発見により治療効果ひいてはQOLに反映されるよう努力していきたい。
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top