日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: RKS2-10
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糖尿病患者には、アルツハイマー型認知症の発症率が高く、若年から既にその兆候が始まっている。
山本 陽一大河内 昌弘高田 恭子岩間  糾勝野  哲也浅田 馨服部 孝平後藤 章友神谷 泰隆大野 恒夫
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抄録

【目的】近年、糖尿病が、アルツハイマー型認知症の危険因子であり、糖尿病患者は、脳血管性認知症以外に、アルツハイマー型認知症の発症率が高いとの報告が、多く見られてきている。その病因として、高血糖による脳内の酸化ストレスの亢進、および、脳内のインスリン作用障害により惹起される中枢神経(海馬)細胞アポトーシスの亢進と、それに伴う海馬領域の萎縮が関与していることが明確にされつつある。そこで、今回、我々は、糖尿病患者のアルツハイマー型認知症の発症頻度、および、その発症に関連する因子について、画像診断を用いて客観的に検討した。【方法】脳血管障害の既往の無い20-100歳の2型糖尿病患者50名および非糖尿病患者50名を対象に、頭部MRI画像を利用した早期アルツハイマー病診断支援システムであるVSRADを用いて、海馬・海馬傍回の萎縮の有無を判定した。また、認知障害の有無を、VSRADの結果を知らない第3者である臨床心理士により長谷川式、MMSEテストを施行して頂き、客観的に判定した。【結果】2型糖尿病患者は、対照患者に比べて、有意に海馬・海馬傍回の萎縮を認め、認知障害のテストスコアの有意な低下が見られ、中でも、特に、短期記憶障害のテストスコアの低下が特徴的であった。関連する因子について検討した処、年齢、性別、BMIとは無関係で、糖尿病罹病期間が長い、HbA1cが不良な患者に、有意に海馬・海馬傍回の萎縮が見られた。加えて、若年糖尿病患者においては、長谷川式、MMSEテストスコアは保たれているものの有意に海馬・海馬傍回の萎縮が見られる症例が存在した。【結論】糖尿病患者において、アルツハイマー型認知症が高率に存在し、特に罹病期間が長い患者、糖尿病コントロールが不良な患者にアルツハイマー型認知症が発症しやすいと考えられた。また、糖尿病患者におけるアルツハイマー型認知症は、若年から、既にその兆候が始まっている可能性がある。さらに、若年糖尿病患者においては、画像診断上、海馬・海馬傍回の萎縮が見られても正常な脳が代償的に作用し、認知症テストでは、アルツハイマー型認知症の早期の存在が捉えられない可能性が考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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