日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: RKS2-7
会議情報

急性心筋梗塞に対する抗血小板療法、抗凝固療法中に発生した腸腰筋血腫の1例
櫻井 綾子大河内 昌弘浅田 馨郷治 滋希岩間  糾勝野  哲也服部 孝平後藤 章友神谷 泰隆大野 恒夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

近年、心筋梗塞や脳梗塞の治療として、抗血小板療法や抗凝固療法が積極的になされている。これら薬剤の稀な副作用である腸腰筋血腫に対する認知度は低い。さらに、腸腰筋血腫は、抗血小板剤や抗凝固剤の中止により自然に後遺症なく回復する軽症なタイプと、鼠径靭帯付近まで血腫が及び、同部位を通過する大腿神経が圧排されて大腿神経麻痺を発症し、あるいは、出血性ショックを来たし、早期の外科的血腫摘出術や経皮的動脈塞栓術が必要になる重症なタイプがあるため、その疾患を熟知することは重要である。症例は、74歳男性。H22年7/3頃から労作時胸痛、7/7 19時~7/8 0時30分まで胸痛が続いたため、7/8午前中に当院を受診された。心電図上は、V1-3 QS pattern, ST上昇、血液検査上は、CPK 467IU/L, CPK-MB 65IU/L, トロポニンT陽性、ラピチェック陽性、心エコー上は、前壁中隔のakinesisを認め、急性心筋梗塞と判断し、同日入院とした。入院時は、胸痛は消失しており、3時間後のCPK値は横ばいであり、経過から自然再開通と考えられたため、抗血小板療法や抗凝固療法で安定させてからの待機的心カテの方針とした。その後、心カテ予定の7/12の前日夜間より、左背部、鼠径、大腿部痛が出現した。CT, MRIで左腸腰筋の著明な腫脹を認め、大量の左腸腰筋血腫と判断した。抗血小板剤や抗凝固剤の中止をしたが、5日間で、Hb14.1から9.8g/dlと徐々に貧血が進行したため、輸血治療を必要とした。その後、安静治療のみで、疼痛、左腸腰筋の腫脹は徐々に改善した。その後、安静度を拡大した処、安静に近い状態でも胸痛があるため、抗血小板剤を段階的に2種類内服させ、冠動脈CT検査、心カテ治療を行った。冠動脈CTでは、LAD #6 石灰化 #7 90%狭窄が疑われ、心カテでは、LAD #6 90%狭窄に対して、Vision 3.5×18のBare Metallic Stentを留置した。その後、安静度拡大でも胸痛の再燃はなく、腸腰筋血腫の再発はなく、血腫は自然に吸収された。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top