日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: RKS3-13
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急性膵炎・胆管炎を併発したLemmel症候群の1例
一尾 享史大河内 昌弘岩間  糾郷治 滋希勝野  哲也浅田 馨服部 孝平後藤 章友神谷 泰隆大野 恒夫
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抄録

Lemmel症候群とは、十二指腸憩室が総胆管や膵管に機械的影響及ぼすことにより,肝胆膵疾患が生じる稀な病態である。その疾患名は比較的有名であるが、傍乳頭憩室の頻度の多さの割に、臨床的にその疾患に遭遇する機会はそれほど多くはない。また、Lemmel症候群は、保存的治療での再発の多さのため、内視鏡的乳頭切開術、外科的治療(十二指腸憩室切除、または、憩室内翻術、乳頭形成術、胆汁経路変更術(胆管切除および,総胆管空腸吻合または総胆管十二指腸吻合)などの治療法が勧めらており、手術適応については、慎重に判断する必要がある。今回、我々は、急性膵炎・胆管炎を併発し、画像診断上、Lemmel症候群と考えられた典型的な1例を経験したので報告する。症例は、87歳女性。高血圧、脳出血後遺症で近医に通院していた。H23年3/4より、38℃台の発熱、上腹部痛を認め改善しないため、3/5に当院来院された。初診時、38℃の発熱に加え、黄疸、右季肋部~臍上部痛を認め、血液検査上、WBC14000/μl、CRP 3.1mg/dl、T-Bil 3.5mg/dl、AST 284IU/L、ALT 266IU/L、ALP 1700IU/L、γ-GTP 745IU/L、Amy 514IU/L、Ca 7.9mg/dlと急性膵炎・胆管炎所見を認めため入院とした。CT&MRCP上は、胆嚢~総胆管拡張、胆嚢結石を認めたが、総胆管結石は認めなかった。加えて、十二指腸乳頭部に、憩室内残渣を伴う4cm大の傍乳頭憩室を認め、憩室による下部胆管の圧排所見が見られた。さらに、軽度の主膵管の拡張も見られた。入院後、抗生物質、膵酵素阻害剤の点滴の保存的治療で、解熱が得られ、腹部症状、肝胆道系膵酵素も順調に改善した。急性膵炎・胆管炎の治癒後、ERCPを試みた処、Vater乳頭は憩室内乳頭となっていた。胆管、膵管のカニュレーションを何度か試みるも困難で、胆管・膵管造影は出来なかった。当患者は、今回、初発発作であり、保存的治療で軽快していること、また、高齢でもあるため、手術治療はせずに見合わせた。現在まで、退院後、再発なく、順調に経過している。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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