日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: S1-1
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地域医療を守るための意識改革
-岐阜県の現状-
*日置 敦巳
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キーワード: シンポジウムI
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抄録

〈背景〉岐阜県は,2009年10月1日の推計人口約209万,面積約1万km2の内陸県である。山間部には,幾筋にも分かれる谷沿いを中心に人家が散在している。65歳以上人口割合は23.6%(全国22.7%),75歳以上は11.3%(同10.8%)であった。
〈医療の現状〉人口10万対医療施設従事医師数は177.8(全国212.9)と低く,全国都道府県の41位である(2008年医師・歯科医師・薬剤師調査)。看護職についても,看護師が人口10万対713.9(全国744.6),准看護師26.5(同286.3)と低い値である(2010年衛生行政報告例)。2008年患者調査における外来受療者の割合は人口10万対5,607(全国5,376),入院は881(同1,090)と,入院の割合が低くなっている。
〈課題と対策〉医師をはじめとする医療資源は,南部の都市部に集中し過疎地域で不足する偏在が顕著となりつつある。また,過疎地域では若い世代等が離れた地域の病院に受診する悪循環もみられている。
 国立社会保障・人口問題研究所(2008)の推計によると,岐阜県における65歳以上人口の当面のピークは2025年頃とされているが,入院割合が著しく上昇する75歳以上の者のピークは2030年頃であり,これまでと同様の入院が行われる場合,病床数の不足が生じる可能性がある(図1)。在宅医療を推進するにしても,それを支える世代が少ないことから(図2),一人暮らしの高齢者に対するサービス体制や山間部等での居住場所の集中化を考慮する必要がある。医療資源の偏在に対しては,今後の疾病構造の変化を見据えた医療提供体制の見直しも必要と考えられる。しかしながら,高齢者の急変時における入院を含む日常的医療は近隣の医療機関である程度確保できることが望 ましいと考える。
 過疎地域における医療スタッフ確保のためには,その生活・子育て・教育にも配慮した受入れ態勢や,住民が医療施設に投資・利用して育てる意識も必要と考える。医療の側からみると,都市部の病院も含めた複数の医療施設のグループで医療を確保し,頻度に応じて,スタッフ派遣と患者搬送のバランスをとっていくことも考えられる。経営面からみれば,過疎地域の病院に対しては,患者の負担は同じとしても,効率の悪い分を診療報酬や補助金で補うことも有用であろう。また,医師の確保が困難な診療科については,何らかの形で誘導することも考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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